無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




院落 P2 50mm f1.5 小店での作例

仕様 お寄せ頂いた作品   - 2024.11.24


 商標権が取得されている名称は使用できませんので引用元の「**DE401630**Dr.Rudolph-Pat.」ような形で表記することに致しました。ご迷惑をお掛けします。 - 2025.3.17

 Kino **DE401630**Dr.Rudolph-Pat.は特許でf2が残されていたので、小店にてこれをf1.9と広げてP1として製造致しました。比較的個体数が残存しているものはf1.5ですし、f2は業務用で"優秀"となるので、f1.5の復刻が要望されておりましたところ、この度P2として復刻に至りました。特徴とそれぞれの違いについて確認いたします。

f2 f1.5
ボケのマシュマロ感 柔らかい チリチリ感が混じる
空間の歪み ピンの範囲が奥に向かう 同じ
グルグルボケ 近接で発生 数mでも発生
色彩 正確 パステル(時に白濁も纏う)

 本質的には同じなのですが、実際に撮影されたものは印象が随分違います。f1.5はより肖像向けですが、あらゆるものを絵画調に変える傾向のため、f1.5を好む人の方が多いのではないかと感じられます。


  1. Kino

  2. 高輪 2024.11.24
  3. 麻布十番 六本木ヒルズ 2024.11.24
  4. 下北沢 2024.11.30
  5. 銀座4丁目交差点付近 2025.02.07
  6. 谷中 2025.02.07
  7. 慶應 2025.11.18


 完成して受け取ってすぐの2024.11.24に少し撮影いたしました。撮影場所は、高輪界隈、ライカM9です。全部開放で撮影致しました。

院落 P2 50mm f1.5 美容院  f1.5ということもあるのか、焦点が柔らかくなります。背景のザワザワ感はf2より少し強いのですが、本質的には同じです。

院落 P2 50mm f1.5 さぼてん  背景は溶けてしまうよりも、これぐらいの多少のチリチリ感を残した方が実在感があります。

院落 P2 50mm f1.5 グルグルボケ  グルグルボケを珍重する人々も多いですが、決して良くはありません。このようなデメリットを甘受しても得られる効果があるために忍んでいるに過ぎない、本物であまりにもグルグルが出る個体もあると思いますが、清掃時にガラスの間隔をわずかに開けてしまっているのではないかと想像されます。しかしゴッホの晩年の作品でグルグルを描いているものもあるので背景の効果として一定の魅力はあるのだと思います。

院落 P2 50mm f1.5 板  平らなものを撮影します。ピンが横に狭く奥に伸びるのはf2と同様ですが、f1.5はガラスの間隔が広いため周辺へ向う光の口径が限定され、それによって幅が狭まっています。その幅の範囲内で歪んでいますが、歪みを消すのも可能と思います。しかしそれならガウスなど他の設計の方が理想的です。歪みを得るためにこの独特のレンズ構成が選ばれている筈です。この構成のまま、いわゆる普通のレンズに設計するとどうなのでしょうか。マシュマロボケと白濁がフレアのように出現してあまり良くないのではないかと想定されます。

院落 P2 50mm f1.5 赤い屋根 院落 P2 50mm f1.5 蔦  光量が少ないと落ち着きますが、ボケはf2よりも硬質です。

院落 P2 50mm f1.5 格子窓  微妙に白濁に近い霞があります。これはf2にはない特徴です。f1.5の方が好まれるのはこの特徴もあると思います。フレンチ・キノでよく見られる現象です。

院落 P2 50mm f1.5 銅の箱型  これは開放f1.5での撮影であることを再確認します。軒下の比較的暗めの環境です。

院落 P2 50mm f1.5 紫のコート  複雑に素材が並べられた意図のわかりにくい画ですが、鏡のように反射している部分に目を向けると、筆で撫でるように描かれたようなボケ方です。f2でも状況によっては出ますが、ちょっと出にくい傾向です。

院落 P2 50mm f1.5 白い敷物と花瓶  高輪は尾根のように長い丘でその頂上に道があります。そこを進んでは両側を見て歩いていますが、夕方近くなり、強い日差しを受けて、肉眼で見てもこういう感じのキツい光の状況でした。どれぐらい潰れるのかテストしましたが意外と大丈夫、中央の花瓶を強調する構図としたいのですが、敷物も白で目立ちにくく、はっきりしませんでした。

院落 P2 50mm f1.5 黄色い花  高輪消防署前花壇の花です。花はちょっと絞るべきと思います。だけど花によりますでしょうね。

院落 P2 50mm f1.5 木製階段  基本的にはf2と同じです。しかしこのタイプの収差であれば、f2ぐらい優秀?となると、業務感は出ますでしょうね。もちろん大いに結構なことですが。しかしこれぐらいボケている方がむしろ表現しやすいのではないかと思います。だからf1.5の方をスチール向けに販売していたのでしょう。

院落 P2 50mm f1.5 松  松のくねる枝が逆光を浴びて消えるようです。これもf2と同じ傾向です。

院落 P2 50mm f1.5 街灯と枝  あまりにも明暗の差が激しい、写真に不向きな構図です。モノクロ時代では手作業の覆い焼きで調整するのですが、それでもこの構図はないでしょう。しかも暗い方に焦点を合わせたために、明るい背景は消えるようです。この感じのボケ方を善用したいものです。

院落 P2 50mm f1.5 紫の花  開放で撮影しても大丈夫な花を見つけました。絞りの使い方如何で花も活かせそうです。

院落 P2 50mm f1.5 枝と民家  写真というものをこういう構図で撮っていてはいけませんね。右半分の樹木を焦点の範囲に収めるか、もっと寄らねばなりません。しかしそんなことよりもボケをよく見たいところです。人物であれば、実に風流な画が得られるでしょうね。

院落 P2 50mm f1.5 コーヒーパック  紙パックに焦点があります。前ボケも使えるという印象です。こういうところがある意味、良質のボケ玉が使いやすい要素でしょう。

院落 P2 50mm f1.5 日本料理店  伊皿子から泉岳寺方面に降ります。そのちょうど角にある日本料理店です。元から白濁気味のところに白、光も強くはないので尚更です。

院落 P2 50mm f1.5 Bellas  複雑な背景故にグルグルボケも明確ではなく、ブラシで掃いたような描写になっています。これが主題を引き立てるのではないかと思います。

院落 P2 50mm f1.5 壁のヒビ  肉眼では決して美しくはない亀裂ですが、絵画調に捉えるとデザインのようです。

院落 P2 50mm f1.5 N響練習場-逆光 院落 P2 50mm f1.5 N響練習場-順光  上は西陽が当たっている逆光でもないのですが、下なら順光という、そういう関係での2枚です。ほぼ同じ時間、同じものを違う角度で撮影しただけです。

院落 P2 50mm f1.5 特注の玄関  グルグルボケも或いは必要なのか、これがなければ絵になりません。

院落 P2 50mm f1.5 コンクリートビルの角 院落 P2 50mm f1.5 石垣の角  この独特の収差、角を試してみたくなりました。単なる角ではありますが、前に出る印象があります。やはり肖像用の収差という認識です。

院落 P2 50mm f1.5 石のタイル  携帯で撮影すると全く絵にならない構図ですが、右下付近の独特の騒がしさがちょうど良い。掃いた感じはf2でも出ますが、f1.5はまた違った質感です。




 続いて晩に麻布十番から六本木ヒルズに向かいました。

院落 P2 50mm f1.5 欧風ランプ  ランプは白、その上の縁に焦点があります。その後ろの紅葉も比較的明瞭です。このように奥側に焦点幅があります。前にもある筈です。これが一般的な大口径とは異なる肖像用の特徴の1つです。

院落 P2 50mm f1.5 そば屋のれん  風が吹き続けていたので撮れるか疑問でしたが、ある程度、止めた感じは出ました。光量が大きく減少する夜のボケは騒がしさがなくなり溶けるようです。

院落 P2 50mm f1.5 蕎麦打ち  蕎麦打ちの工房です。焦点は中央の機械ですから結構奥です。しかしよく見るとガラスの格子が明瞭に見えています。手前にも結構な深度があることがわかります。

院落 P2 50mm f1.5 飲み屋  中央上より少し右に強烈なライトがあります。浴びるとどうなるかを見てみました。歪な光輪は鏡胴内部のレンズの縁でしょう。これはどのようなレンズでもこうなると思いますが、レンズ構成にもよります。

院落 P2 50mm f1.5 小窓-焦点窓 院落 P2 50mm f1.5 小窓-焦点奥  上はガラスに焦点、下は白い壁の縁です。ボケの前と後の違い、前が使えるのは珍しい。大体の玉は前ボケが汚いものです。

院落 P2 50mm f1.5 更科堀井  オドオドしたボケは和風に合うように思います。

院落 P2 50mm f1.5 更科総本家  「井」の文字に焦点があります。ボケているようですが、実はしっかり合っています。光で滲んでいます。構図全体に流れがあります。少し絞れば、もっと良い画になった筈です。

院落 P2 50mm f1.5 入り口の白い床  中央のみにグルグルが発生しています。極めて珍しい画です。動きを感じさせます。溶けるようなボケが囲んでいます。

院落 P2 50mm f1.5 片付けた椅子  奥の椅子は本当に溶けていくようです。

院落 P2 50mm f1.5 真実の口  トリッキーな彼を表現するのにKino **DE401630**Dr.Rudolph-Pat.は合っているようです。

院落 P2 50mm f1.5 ガラスとカーテン  イタリアレストランのガラス張りの大きな壁に豪華なカーテンが吊られています。携帯で撮影すると鑑賞に耐えるものではありませんが、そこはKino **DE401630**Dr.Rudolph-Pat.、絵にしてしまいます。溶ける感じと僅かなチリチリ、f2は硬質になりますが、f1.5では柔らかいままです。

院落 P2 50mm f1.5 Green Brothers  一方的な光があり、そしてそれを覆うような光もあります。室内からの強い光は扉で避けています。そのため影響を強く受けることなく、全体を柔らかく包んでいます。

院落 P2 50mm f1.5 ラム酒専門バー  焦点は網に覆われたランプの一番前のものです。黒板の書き付けは大分前にありますが、それでも文字は判別可能です。f1.5開放での撮影であることを再確認します。

院落 P2 50mm f1.5 格子と廊下  前後のボケの特質は基本的に同じであるというのが大きな特徴の1つです。

院落 P2 50mm f1.5 鳥の赤いのれん  焦点は暖簾です。パースペクティブの広さがわかります。

院落 P2 50mm f1.5 あん梅  光輝くものをキラキラ強調してしまう。過剰に出てしまう。ということは、全てを輝かせているのでしょう。わずかであっても。

院落 P2 50mm f1.5 自転車  新品に近い自転車です。輝くものをより輝かせています。

院落 P2 50mm f1.5 お品書き  中央が角です。平面ではありません。夜はいろんなものを儚く溶かします。

院落 P2 50mm f1.5 強い光  写真は強い光に弱いですが、これはどうでしょう? 意外と大丈夫です。強い光を柔らかく変えてしまっています。

院落 P2 50mm f1.5 ネオン  けやき坂はとても多くの人がいます。よく見るとほとんど外国人でした。何をしに来ているのかわかりませんでしたが、横断歩道を渡った時に皆、一斉に立ち止まり写真を撮り始めたので理由がわかりました。けやき坂は白、東京タワーは赤、タワーが見えるのは車道のみ、歩道からは見えない、車で坂を降りてくると見える絶景でした。

コラム


  1. Kino

  2. 高輪 2024.11.24
  3. 麻布十番 六本木ヒルズ 2024.11.24
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  5. 銀座4丁目交差点付近 2025.02.07
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