無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




峻厳なパステル調で表現する アストラー Astrar
「鼓灯」B3 50mm f2.7

2015.11.20

あらゆるものを絵本のような色彩に変えてしまうアストラー

 アストロ・ベルリンの主要なラインナップはキノ(映画)と天体用(アストロというメーカーですから)で、天体はダブレット、キノはスピーディックかガウスが中心でした。スチール用ではテッサー型やその亜種がありました。ビーリケによって取得されたテッサー関連の特許データはおそらく2つです。このうちアストラー Astrarの方が良さそうなので復刻を考えています(独特許 DE634843、英特許 GB375723、米特許 US1888156)。

 テッサーに1枚追加したものです。50mmです。しかし本データはf2.5で、実際に販売されたf2.7より明るいです。収差はf2.5の方で出しています。
アストラー ガラス配置図 アストラー f2.5 縦収差図
球面収差がf2.7ならほぼゼロです。アストロの感覚ならf2.7ゼロを選んだのではないかと思います。無理すると見えますからね。抑えたものは余裕があります。1931年の設計ですが、この頃のテッサーはf3.5が限界だったので1枚増やしてf2.7はぜいたくなものではあったのだと思います。こういう補正の仕方はアストロの得意とするところだと思います。
アストラー f2.7 縦収差図



 もう一つはテッサー型の望遠 アストラックス Astraxです(米特許 US1558073)。指定がf4.5で、画角は55度で出しています。焦点距離は50mmです。結構画角はあるのですが、製造されたのは天体専用のファーンビルトリンゼ 210mmと500mmだったようです。天体用ですから無収差なのですが、画角を広げた状態できちんと作っていれば、そこが微妙な良さとして表出するということなのだと思います。
アストラックス ガラス配置図 アストラックス 縦収差図
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