戦前のメイヤー Meyerについてはすでにトリオプラン Trioplan 50mm f2.8をご覧いただきましたが、その時に同時に同じトリオプラン Trioplan 25mm f2.8も入手しましたので、今度はこちらを見ていきたいと思います。同じトリプレットですがどうでしょうか。
50mmの方とは違い、だいぶん霧膜がかかるレンズでしたので、フランス製霧膜型レンズの扱い方と同じ方法で処理済みの画を並べていきます。尚、映画用広角レンズということで暗角が出ていますが、白みを消す処理を行うとこの暗角がますます大きくなってきます。それで写真によって暗角の大きさが違いますが、それは処理の強度が異なるためです。
北京・什刹海の西側は胡同と呼ばれる古い建築と通りが残っているところで観光スポットになっています。しかし庶民の生活のエリアだけでなく、立派な建物も残っています。北京師範大学の建物で現在は付属中学として使われているこの建物は重要文化財級でかなり見ごたえがあります。
描写の根本の部分は50mmのトリオプランと同じかもしれませんが、白膜が出ることによってだいぶん受ける印象が違います。柔らかい対象の肌合いはフランスレンズのようではありますが、しかしドイツ的な凛としたものも合わせ持っています。トリオプランはスチールで撮影するとポートレート用途になるということでしたが、この25mmをポートレートに使うのはどうでしょうか。無理があるような気がしないでもありません。
王府と呼ばれるかつての大富豪の邸宅もあります。この岩山の中に「福」の文字を掘り込んだ石があって触ると金運が増すということで人々が押しあって群がっていますが、なぜか年寄りばかりです。年を取ると気持ちがわかるようになるでしょうか。加齢臭がすごいエリアですが、そっちの方を何とか改善した方が実質的に金運が上がりそうですが、いかがでしょうか。
本レンズの改造は距離計連動にすることができず、カメラ内部に入り込んでいますので、表面は非常にコンパクトなパンケーキ型となりました。25mm f2.8で目測であれば問題ないレベルです。焦点の合ったところは一応シャープに撮れていますが、ずれたところは絵画のようです。この味わいは美しいので活かしたいところです。
本レンズは0.5mぐらいまで寄れますが、これは1mぐらいです。トリオプラン50mmであれば、硬く写りますがこちらは柔らかくなります。
金属でできた硬質の物体ですが、こういうものすら絵画のように写ります。"真実を写し取る"という写真の本来の姿から離れているような気がします。それも当然、写真用のレンズではないからでしょう。気になるのは、奥へのパースペクティブが異常に広いことです。1.5mぐらいのところを撮っているのに奥がボケている感じがあまりしません。
これはどこにピントが合っているのでしょうか。酷い画になってしまいました。こちらと向こうの建物の中間が焦点だろうと思いますが、パースペクティブが広いのに、このようにすべてがボケてしまうこともあります。射し込む光を撮るのはあまり良くないようです。
肉眼で見て特に魅力のある対象ではありませんが、こうして見ると静物鑑賞的観点から見ごたえがあります。物体を溶けるような柔らかさに変えてしまう特徴があるようです。
今度も射し込む光ですが、内側はかなり暗い環境です。これならまだ鑑賞に堪えられますが、どちらかというと苦手な印象はぬぐえません。
かなりぼけていますが、これはおそらく無限遠に合わせたまま撮っています。ベストのタイミングを逃すまいと焦ったものと思います。前ボケの特徴が出ていますが、これがなかなか良いのでどのように活かすかが鍵になりそうです。
こちらもうっかり無限遠で撮ったものと思いますが、そのため手前が柔らかくなっています。柔らかくなりすぎていますが、もう少し手加減して焦点を引付けるといい塩梅だった可能性はあります。
中国人マダムの日常的撮影風景です。ムービー機能もしっかり活用していくのは当然です。邪魔な人間は積極的な声掛けで退かしていきます。撮影に熱中するあまり仲間を見失うと大声で呼び続けます。あまりの騒音に半径5m以内に誰も寄りつきません。知らない人に「お兄ちゃん、止まって」などと言って愛機を構えることもあります。
これはどうしてピントがずれているのかわかりません。おそらく奥に行ったと思います。ここはきっちり決めたかったところです。少女は写真のチェックに余念がないようです。しっかり見習っておれば、もう一回撮り直すことも可能だっただけに残念です。