先ほどのキルフィット Kilfitt マクロキラー Macro-Kilarは夜間の撮影でしたので、今度は昼間にしたいと思います。次は発色の派手さで特に有名なシャハト Schacht トラベナー Travenar 50mm f2.8で魯迅博物館の撮影に臨みたいと思います。レンズ構成はテッサー型です。
とても日差しの強い日だったので、それと白い壁ではかなり悪条件でした。しかしそれにしても潰れすぎという感じはいたします。コントラストの高さと色彩の捉え方にははっきりした意図はあるように感じられます。
もう一枚、屋外のものを見ますが、色彩が原色寄りになる傾向があるので、いろんな要素がはっきりし過ぎてあまり好ましいとは思えません。天気の良い日に屋外には持ち出さない方が良さそうです。
北京の古い伝統建築は「四合院」(si-he-yuan)と言われ、中庭を囲むように独立した平屋が四方に建っています。太陽がかなり落ちてきていますので日陰になって涼しくなってきています。こういう環境でも色彩の濃度は健在ですが陽があまり強くなければ、ボケも含めて味わい深い感じが出てきます。
建物の朱色は経年変化を考えて調合してあるようで、新しく改装したばかりの時は美しくはありません。安っぽく感じられますが、数ヶ月も経つと落ち着いた良い感じになってきます。少しやつれた感じの雰囲気が良いのですが、本レンズのように生命感を引き出すような色の扱い方であれば、かえって悪い方向に行ってしまいます。
きつくなりつつある少し手前という感じの西日が射しているところですが、じっとりした質感の捉え方はこのレンズがテッサー型であることを思わせます。
北側の窓から光が差し込み今や使われなくなったベッドと椅子を照らしています。湿度が感じられる質感が美しく感じられます。こういう特徴が引き出せる環境で使うのが良さそうです。
また室内ですが、今度はもっと広い場所で採光を十分に採っている環境です。それでも屋外とは比較できない程、光量は減っています。こういう場合は彩度も落ちてしまいがちですが、このレンズではそれが補足されちょうど良い感じになります。
暗い場所で対象をしっかり捉えようと思えば有用なレンズですが、f値が2.8であれば例えばこの画の場合はシャッタースピード1/6(ISO200)という難しい条件となり感度を下げないといけません。深度も稼ごうと思えばすでに手持ち撮影では無理になってきます。もっともこの条件は他のレンズでも同じことですが、彩度をも稼ごうとするならば、ある程度は絞りを空ける必要はあるので、単に絞って三脚を立てれば良いという訳ではないかもしれません。
関係書籍を保存してある一角ですが、光のパステル調の感じが実際よりも奇麗に撮れている感じがあります。こういう条件が一番持ち味が出そうです。
もっとも手持ち、高感度、開放で撮影しても差し当たっては問題ありません。これもスピード1/6になりましたが、机に焦点が来て、奥の展示物が柔らかい雰囲気に包まれたことで意図通りの画になりました。