今度はスイス・アーラウにありましたケルン Kern社が製造した名玉マクロスウィター Macro-Switar 50mm f1.8で撮影しています作画をご覧いただきます。自宅と自宅の木や花を撮影したものです。
今までの2本と明らかに違うのは解像力です。事実、これほどの驚異的な解像力を誇るのは50年代以降のズミクロンぐらいで、この2本を凌ぐものは作られていないと言われています。(これには「写真用レンズとしては」という但し書きが要ります。映画用は大型スクリーンを想定しているので、これぐらいは当然の精度です。)たいへん贅沢なレンズです。解像力がますます増し加わってカリカリになるかと思いきや、そんなことはなく甘さも出ています。明るさはオレストンに並び、最短撮影距離もマクロキラーとほぼ同じです。ボケの緻密さも上回っており、もはや何も言うことはありません。
これは0.7mぐらいです。光の具合が難しいところですが、何物も克明に捉えようとするあまり、融通の利かなさはあります。しかしこれだけすっきりした明瞭さを備えたレンズはなかなかありません。
まだ煮上がってないので色彩がビビッドですが、マクロスウィターで撮るのでなおさらデフォルメ気味の感があります。
マクロスウィターはかなりの優等生です。マクロが撮れるだけでなく、元々映画用レンズに開発されたものですから、動画を撮るのが本来の用途です。写真を撮っても良しと非の打ち所がありません。しかしこのレンズには欠けたものが少なくとも1つあります。それはメイヤー・オレストンには備わっているものです。優しさと柔らかさです。