無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




フランスの品格が導き出した3つの表現2

フランスレンズの濃厚な美について - 2012.05.23


ソン・ベルチオ シノール 50mm f3.5
SOM Berthiot Cinor 50mm f3.5

 次に淡調型のレンズの例として、ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5を見て参ります。4群4枚、スピーディック Speedic型です。大种寺の鐘博物館です。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 鐘 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 鐘の細工  まず室内の撮影ですが、爆濃型のレンズ程、際立った特徴があるわけではありません。この図では色濃いように見えますが、爆濃型では線をもう一回上から引いたような表現になります。パースペクティブもこちらの方が50mmですから狭い筈なのですが、実際にはあまり変わらないような気もします。動画用のレンズなのでピントが掴みやすいようにこのように作ってあるのかもしれません。トーンは若干淡いものの、こちらの方がシャープです。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 円形の建物  元々おそらく8mmムービー用のレンズなので(購入時にすでにCマウントに改造してあったのでCではないのは間違いありません。Dマウントだと思います)。本来使う感光範囲はもっと狭いですからほとんど破綻のない望遠レンズだったのだろうと思います。これはAPS-Hの範囲なのでさすがに周辺は多少の問題があるようですが、気にする程ではありません。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 中国の木  このレンズはライカ判換算で本来映画で使う場合、焦点距離200mm換算というところです。こういうレンズを映画で使うということは人物のアップを考えているのは想像に難くありません。それで木にだいぶん寄ってみました。これだけシャープに写るのは女性は嫌がりそうですが、女優さんだったら問題なかったのでしょうか。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 中国の庭1 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 中国の庭2 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 中国の壁と建物  屋外の公園内を撮影してみます。もはやアジアの雰囲気はありません。前後のボケ味が非常に上品です。それに微妙なフレアの出方が独特です。この表現は淡調型の土壇場です。このような構図はライカも得意ですが、モノクロでなければ真価は発揮しない違いがあります。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 黄色の光のオブジェ ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 白い光のオブジェ ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 ランプ ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 アラビアレストラン ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 噴水  夜に撮影するとかなり様子が違ってきます。割と暗いところでも繊細に写ります。ライツのオールドレンズではこのようには写りません。暗い部分がもっと不明瞭になります。とはいえ、絵作りの違いの方が顕著です。


2020.02.14

 ライカM9にて南青山~千駄ヶ谷界隈での撮影です。二胡奏者のチェンミンさんに呼んでいただきました。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈1 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈2 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈3 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈4 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈5 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈6 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈7 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈8 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈9  ライカに変わるとしっかり色は出ますね。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈10 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈11 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈12 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈13 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈14 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈15 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈16 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈17 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈18 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈19 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 南青山~千駄ヶ谷界隈20


 ライカM3にてアナログフィルムで撮影してみます。
ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 画廊の絵画 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 禁止マーク  メリハリがあって縁取りは明確ですが、どこか儚さも漂わせています。デジタルとは印象が違います。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 揚 ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 沈む国家  露出が減るとこうなってデジタルの描写に近くなりますが、これだったらデジタルの方が魅力あるような気がします。光をほんのり捉える様はまさにフランスレンズですが、この秘密はベースにトリプレットを配していることなのかもしれません。一枚追加して表現を控えたところに見られる美は、フランス人にとって明るさを稼ぐ以上に価値があったのだろうと思います。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 毛首席万歳  「毛首席万歳」あたりに焦点が合っています。奥の方へはボケていますが、ファットではありながら、なだらかで安定しています。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 赤いCAFEの文字  逆光のアブノーマルな環境では内に秘めた本質が現われたのか、回転するようなボケが見られます。

ソン・ベルチオ SOM Berthiot シノール Cinor 50mm f3.5 コーヒー豆の分類  ソン・ベルチオのレンズが捉える人工光は、どれもほのかです。色彩もパステル調ですが、彩度はそれほど高くなくぬるい雰囲気です。このあたりにフランス独特のバランス感覚が感じられます。

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