無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




広角マクロの歴史的傑作 Makro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.
「院落」P4 35mm f3.3

2025.04.17

より近く、より美しく捉えるMakro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.

 商標権が取得されている名称は使用できませんので引用元の「**DE401630**Dr.Rudolph-Pat.」ような形で表記することに致しました。ご迷惑をお掛けします。 - 2025.3.17

 Makro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.はライカに取り付けられたり、他のカメラにも一般のスチール撮影用として使われ、マクロレンズとして供給されていませんでした。それはまだ一眼レフがなかったからと思われます。しかし光学設計を見ますと明らかにマクロ撮影は可能で意識されていたと思われます。そしてマクロというと小さなものを大きく撮影するので、日常とは違った世界を見る感があります。その特徴が風景のようなものを撮影しても変わらない、そこに本作の価値があります。

 ドイツのマクロ専門サイトにてローランドさんが撮影したものが4つあります。(同サイト内で探せばまだありそうです)
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Turkestanische Tulpe
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Farnwedel mit Rotbuchenblatt
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Feldahorn
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - durchstrahlte Baldachinspinne

 リンク切れがあってはいけませんので、ローランド氏渾身の力作と共にスクリーンショットを1つ掲載します。氏の作品は全て105mmでの撮影です。
ローランド氏によるMakro Plasmatの撮影

 結果的に後代の設計を見るとルドルフがマクロ広角にクセノター型を採用したのは筋が良かったことが証明されていますので、歴史的影響の点でこのMakro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.の発明は価値があるものだったということになると思います。

 Makro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.は、2つのデータが残っています (独特許 DE456912、英特許 GB261326、米特許 US1812717)。実際に製造されたものは最後の4番目の設計です。画角は64度(35mm)で、口径もf2.9まで上がりました。製品化されたのはこれだったようです。口径は実際にはf2.7までありますので、それで出図しています。マクロという前提なので最長1mからという計算で、それでf2.9というスペックになっているものと思います。
Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912 ガラス配置図 Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912 縦収差図  焦点距離35mmで出図していますが、50mm(下図)に変えますと半画角22.5度ぐらいでこのようになります。35mmでなければ設計で意図した描写は表れないということになるのかもしれません。
Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912 50mmでの縦収差図  ルドルフ晩年の設計は本設計もそうですが、ライカに大きな影響を与えていることがわかります。50mmに制限するとライカのレンズのような収差です。ルドルフ博士がライカに技術指導したので、似ていても不思議はありません。

Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912 横収差図  周辺光量は少なめです。光の状態によっては暗角が出そうです。

 本玉は、焦点距離50mmならおそらくf2.7で可能と思われますが、35mmは製造の方と相談した結果、f3.3ぐらいが限界ではないかということでした。本物は焦点距離も実際には37mmぐらい、明るさもそんなにないということで、実物とも比較したスペックにすることにしました。しかし焦点距離の表記は35mmのままとします。

院落 P4 35mm f3.3 0円
まだ見積していません

専用フード付き。フィルター径?mm。至近距離なるべく20cm。絞羽?枚。ガラスコーティング無。重量は計算値で?gです。

ガラス・コーティングは、コート無しの味に近い特注コートを考えていますが検討中です。オリジナルにはコートはありませんでした。使われているガラスは全て耐候性の高いものです。しかし実物は現代の感覚では逆光に弱く、フードがあるとはいえ広角なので前方はオープンです。コートはあった方が良いように思われます。コートしないものは注文があった数のみ作ります。

 マクロに寄る場合、レンズの先端から15cmぐらいが限界ですが推奨できません。20cmが妥当と思います。マクロで撮影した時にようやくPlasmatらしい描写になりそうです。かなり寄りますので暗くなり、開放でもf4.2ぐらいになります。印刷関係へはf4.5で供給していたようです。
Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912を15cmまで寄せた時 縦収差図 Makro Dr.Rudolph-Pat.DE456912を15cmまで寄せた時 横収差図


 もう一つはf3.2ですが、そんなにありません。画角もせいぜい60度です。
Makro Dr.Rudolph-Pat.DE4569122 ガラス配置図 Makro Dr.Rudolph-Pat.DE4569122 縦収差図 Makro Dr.Rudolph-Pat.DE4569122 横収差図
 レンズの先端から15cmのところでは、開放絞りでf5になります。
Makro Dr.Rudolph-Pat.DE4569122を15cmまで寄せた時 縦収差図 Makro Dr.Rudolph-Pat.DE4569122を15cmまで寄せた時 横収差図

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