英国のロス社は、1830年代ぐらいからですから、非常に古い光学会社です。一時期までツァイスのライセンス生産をしていたようですが、第一次世界大戦で自社設計に切り替え、テッサーの特許を回避した3枚貼り合わせの設計を申請しています (英特許 GB29637)。口径はf4.5です。
特徴は歪曲が無い、ということです。おそらくこれがエクスプレス Expressの特徴です。
広角クセノター型は、28年に申請されています (米特許 US1777262)。f4です。
ガウス型は29年です (英特許 GB323138)。口径はf1.9とありますが、これでは絞りが入りません。画角は50度と記載されていますが60度で出してみました。エクスプレスは歪曲の乱れを許しませんので、これは50度にせねばならないのでしょう。
実際にはこの設計でf1.9のまま50mmで製造販売されています。画角を焦点距離50mmに合わせます。ここから、絞りの隙間を開ける、或いは口径をf2に制限するの2通りが考えられます。
絞りの間隔を僅かに空けると非点収差が大きく減少します。そのため好ましくありません。設計を変えること自体が好ましくありません。そこで例えば、f1.98あたりの中途半端な値にすると大丈夫です。球面収差があまりにも多すぎる感がありましたが、これならクセノター型と同じぐらいなので自然です。特許には最大f1.9、ですから可能な限り広げるようにということだと思います。
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