ベルチオは真実味というより現実感が写る
フロール Florのデータがあるのであれば、何も考えずに復刻したいと思っていたらありました (仏特許 FR804143)。この特許はソン SOM(Societe d'Optique et Mecanique)によって申請されていますが、これは訳すと「レンズ技術協会」といったような意味で、f1.5といったらその分はしっかりありました。ベルチオ Berthiotによって製造販売されていたこのレンズは映画用で、というよりベルチオというとほとんど映画用だと思いますが、そのためか収差配置はアンジェニューとは同じ大口径でも少し違っているようです。
これは画角が50度あります。焦点距離は48mmとなり、それで出図しています。これで作るのが良さそうです。
ベルチオの特徴は現実感のある写りだと思います。現実ではなく "現実感" なのですが、現実というと肉眼で見たもので、それとは別に頭の中で空想している現実的映像はいささか曖昧な部分を含むことはあるものの、本人にとっては明晰であるという一種の矛盾を含んでいますが、そういう何とも言われぬ画が撮れる感じがします。こういう画は映画向きということなのだと思います。ベルチオ・キノはこういう収差配置で決まっていたようです。このSOMによる設計は1935年に申請されていますので、トーキー映画全盛期のものになります。
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