無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




現代の光を宮廷の輝きに変える
フォクトレンダー

フォクトレンダーレンズの分類と年代対応表 - 2012.07.09


 フォクトレンダー Voigtlanderというと一般的にはオペラグラスが有名です。同社の創業した都市はオペラで有名なウィーンだったので、取り巻く環境によって生み出された製品の1つだったと言えるかもしれません。

ウィーン学友協会大ホール ウィーン学友協会大ホール

 取り巻く環境というと、フォクトレンダーに与えた影響はもう1つあり、それは世界で初めて光学計算に基づいたレンズ設計がウィーンで行われたことでした。ペッツバール Petzvalが設計したこのレンズはフォクトレンダーに委託されることになり、それによってフォクトレンダーの名も世界的なものになりました。

 光学界の発展はここから始まったと言え、別の言い方をすると現代でも使えるレンズはペッツバール以降と言うこともできます。フォクトレンダーは始まりであったかもしれませんが、発展の過程は全欧州の発展と同じ歩調であり、特徴的なのはヘリアーの発表ぐらいで、特に際立ったものはありませんでした。フォクトレンダーはウィーンからドイツへ移りましたので「オーストリアの光学会社」という独自性も失い、特別な存在意義を感じさせる要素に乏しくなりましたが、それが表面的な部分だけだったのは興味深い点です。フォクトレンダーは戦後に至るまで独自の描写を保ち続けました。どのようなレンズ構成を採用しても、その特徴が失われることはなく、それは「貴族的な輝き」を映像にもたらすというものでした。後の時代に至るまで、失われた帝国の煌めきを留めていた点でフォクトレンダーは価値のある遺産ということができます。

 ペッツバール型のレンズは、フォクトレンダーの歴史上、最も重要なレンズでしたが、肖像撮影用として非常に好評だったことで長期に生産され、このことによって設計変更のバリエーションを幾つも生み出しました。
フォクトレンダー ペッツバールレンズ1 フォクトレンダー ペッツバールレンズ2 フォクトレンダー ペッツバールレンズ3 フォクトレンダー ペッツバールレンズ4 フォクトレンダー ペッツバールレンズ5

 最初期のペッツバール自身が設計したものは1つ目で、以降曲率や間隔、絞りの位置を変えながら変更され、わかっているものだけでこれだけあります。また後群を貼り合せたラピッド・レクチリニア型もユリスコープ Euryscopの名称で作られました。
フォクトレンダー ユリスコープ Euryscop1 フォクトレンダー ユリスコープ Euryscop2

 さらに、ダゴール型へと発展したのも、欧州の他の光学会社と同じでした。これはコリニア Kollinearという名称で販売されました。
フォクトレンダー コリニア Kollinear1 フォクトレンダー コリニア Kollinear2 フォクトレンダー コリニア Kollinear3 フォクトレンダー コリニア Kollinear4 フォクトレンダー コリニア Kollinear5

 フォクトレンダーは英クック Cookeからライセンスを受けてトリプレットも製造していました。これは各種あり、ヘロマー Helomar、フォグター Voigtar、ラディアー Radiar(後にダイアリート型へ変更)、アブスコープ Avuskop、ヴァスカー Vaskar、ランサー Lantharの名称があてがわれました。
フォクトレンダー ヘロマー Helomar ヘロマー Helomar

フォクトレンダー フォグター Voigtar フォグター Voigtar

フォクトレンダー ヴァスカー Vaskar ヴァスカー Vaskar


 トリプレットから1枚増やしてエルノスター型へ発展して、名称をランサム Lanthomとして発表されました。
フォクトレンダー ランサム Lanthom

シリアルナンバー
1840 <300
1841 300
1842 800
1843 1,200
1844 1,600
1845 2,000
1846 2,400
1847 2,800
1848 3,200
1849 3,600
1850 4,000
1851 4,400
1852 4,800
1853 5,200
1854 5,600
1855 6,000
1856 6,600
1857 7,200
1858 7,800
1859 8,400
1860 9,000
1861 9,600
1862 10,200
1863 10,800
1864 11,400
1865 12,000
1866 12,800
1867 13,600
1868 14,400
1869 15,200
1870 16,000
1871 16,600
1872 17,200
1873 17,800
1874 18,400
1875 19,000
1876 20,000
1877 21,000
1878 22,000
1879 23,000
1880 24,000
1881 25,000
1882 26,000
1883 27,000
1884 28,000
1885 29,000
1886 30,600
1887 32,200
1888 33,800
1889 35,400
1890 37,000
1891 40,000
1892 41,911
1893 43,685
1894 45,431
1895 46,454
1896 47,771
1897 49,084
1898 54,168
1899 54,896
1900 65,691
1901 68,193
1902 70,682
1903 72,638
1904 75,479
1905 79,288
1906 83,477
1907 88,057
1908 97,999
1909 101,649
1910 105,778
1911 110,347
1912 113,569
1913 118,634-125,975
1914 126,001
1915 132,726
1916 137,682
1917 139,108
1918 142,853
1919 144,419
1920 154,426
1921 160,008
1922 172,136
1923 194,086
1924 216,948
1925 227,929
1926 248,505
1927 279,710
1928 365,562
1929 537,338
1933 671,174
1934 803,220
1935 1,026,690
1937 2,000,000
1942 2,718,530
1945 2,700,000
1947 3,000,000
1951 3,220,000
1952 3,300,500
1953 3,461,400
1954 3,600,000
1955 3,731,000
1956 4,001,000
1957 4,303,000
1958 4,514,000
1959 4,802,000
1960 5,033,000
1961 5,473,000
1962 5,900,000
1963 6,219,000
1964 6,423,000
1965 6,664,222
1971 9,999,999-10,000,150

コラム

Creative Commons License
 Since 2012 写真レンズの復刻「無一居」 is licensed under a Creative Commons 表示 4.0 日本 License.