無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

キノ・プラズマット Nr.1
「院落」P1 50mm f2.5

2015.11.18

 キノ・プラズマットのデータ (独特許 DE401630)は3種所収されています。どうしてでしょうか。量産に採用されたのは3番目のものだったので、結論に至る過程を示したのではないかというのは1つ考えられます。しかし設計の講義というよりは、案を3つ提示したという感じなので、それぞれがすべて最終決定稿だった可能性が高いと思います。収差の配置はそれぞれ似てはいても意図は異なっているので、このプラズマットを以て"キノ(映画)"用レンズの結論を幾つも提示できるということを示したものと考えられます。3番目のものはガンドラックのウルトラスチグマットといった前例があるので、そうした伝統を踏襲したものと見做せますが、それでは後の2つはどのようなものなのでしょうか。

キノ・プラズマット Nr.1の光学図
キノ・プラズマット Nr.1の縦収差図
 ここでは1番目のものを見ますがf2.5、レンズ面を大きくすればもっと稼げますが、収差が大きくなるのでf2.5で止めています。収差配置はライツ的ですが、ベレクも映画用のレンズからの影響は受けているので、これもやはり伝統的な収差配置であると見て取れます。球面収差がプラスになっているのも主題を浮き上がらせる意図がありますし、これは映画用レンズとしては結構ノーマルなものであったのではないかと思います。色収差が多めに感じられますので滲みによる若干のソフト効果も狙われています。

 量産された3番目のキノ・プラズマットはライカにも供給されましたが、あまりに収差がきつい場合もあるので、動画以外の用途にはこの1番を供給した方が良かったような気がします。これだと描写の美しさが多くの人に好まれただろうと思います。柔らかくも毅然とした名レンズの雰囲気が感じられます。

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