無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

大建築群を格調高く捉えるような
広角デルフト「院落」P6 35mm f1.7

2015.11.18

デルフトの彫りの深い表現で広角を捉える

 デルフトの設計師 ヨハネス・ベッカー Johannes Beckerが公開している特許については彫刻のような造形を優しげな滲みで覆う デルフト・ガウス「香箋」G5 50mm f1.3で説明しましたが、ここではその広角の方を見ていこうと思います (米特許 US3357774)。ビオメターの後ろにダブレットを取り付けた特殊な組み合わせですが、特許の記載を見ると「5つの空気間隔の部材を持つ大きな口径比の広角写真レンズ」という、もうちょっと意訳すると「5群大口径広角レンズ」ということになろうかと思いますが、この設計はマクロ・プラズマットによく似ています。考え方は少し違うようですが、マクロでも撮れる設計になっているかもしれませんので一応確認しますと20cmぐらいまで寄っても問題ないような気がします。レンズの先端までで5cm以上はありますので、15cmぐらいとか相当な至近距離でもあまり乱れない設計になっているということだと思います。この特許の中にほぼ同じなのですが画角が少し異なる2種類のデータがあるのでまず1つ目から見ていきます。

広角デルフト35mmの光学図
広角デルフト35mmの縦収差図
 画角は65度で、焦点距離は35mm、f値は1.7です。確認しますと確かにぴったりです。さすがデルフトです。いい加減さは微塵も感じられません。もう一つも確認しておきます。

広角デルフト38mmの光学図
広角デルフト38mmの縦収差図
 画角は60度、焦点距離はデルフトですからおそらく38mm、f値は1.6です。この2つの設計は一見同じに見えますが違うものです。5度画角を変えても収差配置は同じという、コンピューターを使ったのかもしれませんが、このことによって明らかになったのはこの収差配置が意図的なものであるということです。より古い設計の50mmの方は広角とは同じ考えで収差配置を決めていませんが、それでも大筋では同じです。このレンズも量産化されていないので"復刻"ではなく新規製造になるのかもしれませんが、作るのであれば、35mm f1.7の方で行こうと思っています。

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