過去の名玉の復刻
Japan Made
「無一居」製作のレンズは、基本的にライカL39スクリューマウントで作ります。すべて手動マニュアル操作です。技術的に可能な場合はニコンF、キャノンEOS、M42マウントに使えるものも提供します。焦点距離が短いもの、だいたい60mm以下は一眼レフにはほとんど提供できません。
一世紀近く前に作られたレンズですが、これほど品の漂うレンズはなかなかありません。独特の光学設計が特別なものを引き出すのでしょうか。記載されているデータを一切変えずにそのままスケールダウンしてライカ50mm L39マウントにいたします。詳細は「院落」P1を参照して下さい。3つのデータがありますが、その3番目です。
まずレンズコーティングについてですが、プラズマットの描写にコーティングはマッチしますか? デジタルも性能が上がっていますし、鏡筒内部の処理技術も上がっていて、それならレンズの方はコート無しでもいいのではないでしょうか。無しの美しさを手堅さと引き換えるのは勿体ないことです。無しにした上で必要であればPLフィルターを使う方が合理的です。有り+PLともまた違いますし。反対もありそうです。先行予約で製造個数のバランスを決めようと思います。コート無しの予約が少ないことは考えにくいので、もし有りが非常に少ない場合は相談させていただきます。
古いプラズマットの描写が淡い感じで、そういうのを持っておられる方もいらっしゃると思いますが、オリジナルデータという客観的な指標を見る段階からS1よりコントラストが強いです。開放はソフトですが。ですから、古いレンズは劣化もしていて、それとはもはや同じではないということもありそうです。良いコンディションのものだと古いものでも発色は良い筈です。やっぱりツァイス系だからか、コントラストは強く出ます。f1.5で有名ないわゆる「グルグルボケ」はそんなに強く出ず、f1.9はどちらかというと周辺へ流れる印象です。いずれにしても開放ではかなり使いにくいのではないでしょうか。S1とは違うのですが、それでもキノですから割と似てくる傾向がありそうです。S1の説明でハリウッドの特注の話がありましたが、その影響でプラズマットとタンバールも出てきたという点でそこに関しては同じなのかもしれません。f1.5よりもf1.9の方がオリジナルで本来のプラズマットが表現されている筈です。
ドイツ語でキノ(英語でシネ、シネマ)を冠する本作は映像関係の用途も想定されます。元は映画のレンズですから動画でこそ活かされるでしょう。今の世の中で映像というのが重要になってきていて、YouTuberにならなくても撮影の必要性が多くなってきています。Zoom会議も多くなってきています。映像の質で売り上げが変わるので重視されています。しかし映画用のレンズとなると巨大なプロ用になってしまいます。映像の場合はヘリコイドのピッチが違います。写真用より倍ぐらい回転します。つまり微妙なピント合わせができる反面、遠いところから急激に合焦させるのは苦手です。写真はその逆です。中間をとって、どちらも対応します。1回転弱で70cmです。絞りもクリック無しです。動画はクリックがない方が良いためです。
院落P1は製造数100ですが先行予約で50あったら製造しようと考えています。少なければやめようと思っています。しかし残り1桁まで行ったのならオーダーすることになりそうです。製造の木下光学さんからは完成まで5ヶ月ぐらいかかると言われていますので納品は夏から秋になりそうです。先行は¥125,000で50個まで、後半の50個は¥155,000です。先行は予約いただいたことと、先払いで投資していただいたことの還元による優待です。投資しない場合の先行予約はありません。このルールがフェアだと思います。製造しない場合は全額返金します。
先行予約分50個の内、残り個数:47
キノ・プラズマットに関してはおそらく2020年にMS-Opitcal 宮崎光学さんから「VARIOPRASMA 50mm f1.5」が発売されています。以前はあった筈のオフィシャルサイトが見つからないのでリンクは貼っていません(製品自体は検索で出ると思います)。キノ・プラズマット、決して使いやすい類いのレンズではありませんね。だけど名レンズです。ここにギャップがあります。宮崎さんはそこを考えて、欲しい描写と使いやすさを両立したのではないかと思います。プラズマットも本物の光学設計を持ってくると結構キツいので、宮崎さんの方がいいという方も少なくないのかもしれません。
ライカ・タンバールと同じような特性のレンズを60mmに変えて作りたいということで開発しました。タンバールのような幻想的なレンズはなかなかないからです。その経緯と詳細は「花影」S1を参照して下さい。タンバールは軟調とキノ(映画)の混合ということですが、キノ用の収差が強く出て、本物のタンバールのような平面は出ていません。「キノ・タンバール」です。本家タンバールは動画には使えないですが花影S1は使えます。キノの収差は経緯と詳細に詳しいですが、アストロ・ベルリン パン・タッカーの特許データ1つ目を強くしたものに酷似しています。しかしレンズ構成と選定はベレクです。2つ目のデータを強力にしたのがほぼキノ・プラズマットです。それでパン・タッカーは2種ありますがいずれも生産しません。
ライカ L39距離計連動です。ゴールド(Nr.70-99)は真鍮剥出しのもので酸化が進むと色が濃くなってきます(既に濃い黄色になっております)。ブラック焼き付け(Nr.20-69)は弱く、角が剥がれやすい仕様でオーダーしていますので、角を磨いて真鍮地を出すなどして使うこともできます。ブラックのみガラスコーティング無しのモデル(Nr.01-19)もあります(モノクロ撮影はコート無しが良いと思います)売切。製造は100本のみで追加生産はありません。重量は360gです。2021年3月より95,000円にさせて下さい。徐々にP1と同水準まで1月に1万円ずつ上がります。
北京新街口界隈 Shibatenさん f2.5 ライカM3 ネオパン ガラスコーティング無(北京のプロラボでスキャン)
東京麻布十番界隈 花 f2.5 ライカM9 ガラスコーティング無(アプリ読込デジタル処理等一切無し)
東京麻布十番界隈 街灯 f2.5 ライカM9 ガラスコーティング無(アプリ読込デジタル処理等一切無し)
撮影例は、
nicoblue2008様が開設されたFlickr内のグループ
「花影 S1 60mm f2.2」
hamashun様のブログ
「花影 S1 60mm F2.2 + Leica M8 作例記事」
映像はBellami Beginner様が開設されたvimeo内の
「Bellami Beginner」
当ウェブサイト内でもご覧いただけます。
澤村 徹氏による
「少数生産のオリジナルレンズ」という新潮流
metalmickey's montage
でご紹介いただきました。
2016年、ライカ社がズマロン28mmf5.6を復刻しましたが、2017年はタンバールでした。
小店が製造をお願いしている東京の木下光学研究所さんも旧・富岡光学時代の古い設計のレンズを復刻しています。大口径で3種の焦点距離から選べます。
Leica M9で撮影したものはFacebookにアップします。