無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




晩年に到達した静かな Kleinbild **DE572222**Dr.Rudolph-Pat.
「院落」P5 35mm f2.7

2024.11.27

静謐な世界観を持つ Kleinbild **DE572222**Dr.Rudolph-Pat.

 商標権が取得されている名称は使用できませんので引用元の「**DE401630**Dr.Rudolph-Pat.」ような形で表記することに致しました。ご迷惑をお掛けします。 - 2025.3.17

 パウル・ルドルフ Paul Rudolphは、この設計こそが最高だと信じ、このレンズのために会社を設立し、亡くなるまで布教に努めました。最高の設計は標準画角が望まれますが、クラシックな設計で広角はなかなか良いものがないので、焦点距離は35mmまで達しますのでまずは35mmで検討しています。

 ルドルフはツァイス Zeissで成功して退職した後、第一次世界大戦のハイパーインフレで財産を失ったことで復職しました。しかしまもなくツァイスを出、ドレスデンのフーゴ・メイヤー Hugo Meyer社に協力するようになりました。この契約は期間が10年だった可能性があり、メイヤーとの協業からちょうど10年後の1932年に自身の会社を設立しました。「**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.-Dienst am Kunden GmbH」で所在地は息子の別荘があったハノーヴァーでした。設立の目的はこのようになっていました。

「当社の目的は、ゲルリッツ近郊のGroßbiesnitzにあるパウル・ルドルフ博士の特許に基づく写真レンズ「**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.」を可能な限り広く流通させ、**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.の顧客にレンズと必要なすべての付属品に関するアドバイスと供給を提供することです。当社は、顧客のためにすべての写真技術作業を実行し、同様の会社に参加する権限を有しています。」

 ゲルリッツ近郊とはメイヤー社のことです。メイヤーで開発した**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.を広く世に知らしめることを目的としていました。**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.の優秀性を広めるためにはカメラも必要でした。カメラメーカーからレンズを採用して貰うのは難しかったため、カメラとセットで販売する必要があったためでした。その4.5 x 6の中判カメラ「ローランド」は、世界最初のレンジファインダーと言われ、レンズは70mm f2.7のKleinbild **DE572222**Dr.Rudolph-Pat.(独特許 DE572222)が取り付けられていました。

 35年春にはベルリンに移り、社名は「Kleinbild-**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.-Gesellschaft Dr. Winkler & Co.」に変更されていました。この春のフォトキナでの出品では注目されましたが、閉会する2日前にルドルフは亡くなりました。その数ヶ月後の広告での社名はDr.Winklerの名前が消え「Kleinbild-**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.-Gesellschaft, Berlin」、翌年のベルリン・オリンピックで「スポーツ・カメラ」として宣伝された時は「Kamerabau-Gesellschaft Rudolph & Co. Berlin Charlottenburg」が製造元となり、ルドルフ息子が関わっていたと推測できます。そして36年7月におそらくハノーヴァーに戻して社名も最初のものに戻したのか「**DE572222**Dr.Rudolph-Pat.-Dienst am Kunden GmbH」となり解散しました。

 Kleinbild **DE572222**Dr.Rudolph-Pat.は元はMiniature **DE572222**Dr.Rudolph-Pat.という名称だったので、Makro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.と同類と言えます。しかしいずれも近接撮影するようなカメラは作られていませんでした。寄れる筈ですが、25cmぐらいが限界という印象です。4つの設計が残されていて、最後のものが製品化されました。口径はf2.7で焦点距離50mmで出図ですが、画角は35mm相当です。クセノター Xenotar型の発展系と思われます。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE572222 ガラス配置図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE572222 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE572222 横収差図
価格:??,000円 
まだ見積していません

専用フード付き。フィルター径?mm。至近距離も不明。絞羽?枚。ガラスコーティング無。重量は計算値で?gです。

 レンズの先端から20cmぐらいです。開放絞りのままでf3になります。絞ればもっと寄ることも可能です。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE572222を20cmまで寄せた時 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE572222を20cmまで寄せた時 横収差図
 パウル・ルドルフにとってこれが標準レンズなのだという確信があったようで、現代ライカが最高のレンズを追求した結果も同じところに行きつきました。アポ・ズミクロン 50mm f2はこのようなレンズ構成です。




 残り3つのデータの内、実際に製造販売された設計と併記されていたものも確認します。f3.8です。ガラスを1枚減らした安価版と思われます。その他の条件は同じです。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722222 ガラス配置図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722222 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722222 横収差図
 距離をレンズの先端から20cmのところ、絞りは開放でf5です。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722222を20cmまで寄せた時 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722222を20cmまで寄せた時 横収差図

 Makro **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.(独特許 DE456912、英特許 GB261326、米特許 US1812717)と併記されていた古い設計が2つあります。f3.2です。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722223 ガラス配置図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722223 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722223 横収差図
 レンズの先端から20cmです。絞りは開放のままでf4.2になります。
Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722223を20cmまで寄せた時 縦収差図 Kleinbild Dr.Rudolph-Pat.DE5722223を20cmまで寄せた時 横収差図

 広角f6で、画角は90度です。これが少量生産されたと言われるGlobe **DE456912**Dr.Rudolph-Pat.だったのかもしれません。緑の光線は焦点距離50mmライカ判です。
Globe Dr.Rudolph-Pat.DE456912 ガラス配置図 Globe Dr.Rudolph-Pat.DE456912 縦収差図 Globe Dr.Rudolph-Pat.DE456912 横収差図
 レンズの先端から20cmです。開放はf7.5になります。
Globe Dr.Rudolph-Pat.DE456912を20cmまで寄せた時 縦収差図 Globe Dr.Rudolph-Pat.DE456912を20cmまで寄せた時 横収差図

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