後代のプラナーとは異なる
19世紀ツァイスのボケ玉
プラン(平坦)という語から採られたというプラナー Planarですが、どちらかというとボケ玉で、しかし近接でのコピーなどの用途ではそれに合わせて歪曲させているためか、おそらく平坦に撮影できていたようです。vademecumの記述によると、風景は対応しておらず、せいぜい集合写真ぐらいまでしか撮影できなかったようです。しかしこのレンズ構成が非常に優秀であることが後代に明らかになりイメージが変わりました。
f4の特許がありますが (独特許 DE92313)ギリギリの計算値で、実際に販売されていたスペックはf4.5でした。図はf4のままで、このままマクロ域まで調べますが収差はほとんど変わりません。グルグルボケが出そうです。
トラオレの本の149番にf3.3の設計が載せられていますが、これも計算値で製造はf3.6でした。f3.6では球面収差が線を引いているところになります。近距離に近づいても収差はほとんど変わりませんが、球面収差は少しアンダーに寄ります。
vademecumの説明によると、このレンズは高速シャッターでの動きあるものの撮影、映画撮影では75mmぐらいまで、スタジオポートレートではf4.5~f6.0、集合写真ではf8~f12.5、その他、コピーや現像に使用することができました。プロター Protarのほぼ倍の価格でした。
見たところ、f4.5とf3.6は随分違う設計です。画角はだいたい同じで、どちらも同時に販売していました。キノ(映画)には、f4.5を推奨していました。暗いf4.5の方が収差が多いのは、絞りを挟んで前後が同じ対称形だったからでした。f3.6は対称を崩して補正しています。
ツァイス=ルドルフの考える19世紀のキノという意味で資料としては価値がありそうです。f4.5の最終形はクラインビルド・プラズマートで、さらに濃厚な表現としたものがキノ・プラズマートでした。
戻る