無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




広角マクロの歴史的傑作 マクロ・プラズマート Makro Plasmat
「院落」P3 50mm f2.7

2015.11.20

より広く、より近く撮影するマクロ・プラズマート

 マクロ・プラズマート Makro Plasmatはドイツと英国の特許が見つかっており先に申請されている英国の方に2つのデータが、ドイツの特許にはその2つにさらに2つ追加して4つのデータが載っています (独特許 DE456912、英特許 GB261326)。どちらの特許にも所収されている2つのデータをまず確認してみます。

 いずれもf3.2と指定がありますのでそれで出していますが、これは計算値で、実際の製造ではせいぜいf3.5ぐらいです。画角は書いてありませんので45度(50mm)、これぐらいが妥当と思います。
マクロ・プラズマート1 ガラス配置図 マクロ・プラズマート1 縦収差図 マクロ・プラズマート1 横収差図
 距離をレンズの先端から10cmのところまで寄せますと、だいぶん暗くなりf4.5で限界です。
マクロ・プラズマート1を10cmまで寄せた時 縦収差図 マクロ・プラズマート1を10cmまで寄せた時 横収差図

マクロ・プラズマート2 ガラス配置図 マクロ・プラズマート2 縦収差図 マクロ・プラズマート2 横収差図
 これも距離をレンズの先端から10cmのところ、以下全て10cmまで寄せます。これもf4.5で限界です。
マクロ・プラズマート2を10cmまで寄せた時 縦収差図 マクロ・プラズマート2を10cmまで寄せた時 横収差図

 次にドイツの特許のみ記載がある2つです。1つ目はガラスの直径が5mm程の小型マクロ・プラズマートです。f6で画角は60度(38mm)で問題なさそうでしたのでそれで出してみました。
マクロ・プラズマート3 ガラス配置図 マクロ・プラズマート3 縦収差図 マクロ・プラズマート3 横収差図
 暗くなりf8で限界です。
マクロ・プラズマート3を10cmまで寄せた時 縦収差図 マクロ・プラズマート3を10cmまで寄せた時 横収差図

 最後の4番目の設計です。画角は64度(35mm)に広げることができ、口径もf2.9まで上がりました。製品化されたのはこれだったようです。口径は実際にはf2.7まであります。しかしマクロという前提なので最長1mからという計算で、それでf2.9というスペックになっているものと思います。f2.7にしてしまうと画角も制限され、しかしそれでもラージフォーマットは覆うことができます。緑の線はフルサイズです。
マクロ・プラズマート4 ガラス配置図 マクロ・プラズマート4 縦収差図 マクロ・プラズマート4 横収差図
 30cmまでが限界のような気がします。暗くなり、開放でf3.2になります。
マクロ・プラズマート4を15cmまで寄せた時 縦収差図 マクロ・プラズマート4を15cmまで寄せた時 横収差図
 結果的に後代の設計を見るとルドルフがマクロ広角にビオメター型を採用したのは筋が良かったことが証明されていますので、歴史的影響の点でこのマクロ・プラズマートの発明は価値があるものだったということになると思います。

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