ルドルフによるガウスの結論 アリストスチグマート Aristostigmat
「院落」P13 50mm f3.3
2024.12.02
パウル・ルドルフ Paul Rudolphのガウス型は、ツァイス時代のプラナー Planarが有名で、改良されながら100年以上経っても生産されています。ツァイスの進歩とは別に、ルドルフ自身がフーゴ・メイヤー Hugo Meyer移籍後に設計したものは、既にメイヤー社が製造していたアリストスチグマート Aristostigmatの改良でした。改良は数度に及び、幾度か特許申請されています。その中で最も明るいものは1924年のf3、製造困難で実際はf3.3というものです(独特許 DE420223)。画角45度を超えると急に破綻します。
色収差の多さが気になりそうです。とにかく色収差を使って少し柔らかくしたいようでモノクロには良かったかもしれませんが、カラーでは良くないと思います。ガラスを入れ替えて修正せねばならないと思います。しかしそうすると果たして本来の味が出るのかは微妙なところです。
本作を復刻する意義があるのかわかりませんが、キノ・プラズマートを設計した同時期の作品ということで一定の価値があるのではないかと思います。
ルドルフ協力以前にあった1900年の設計(独特許
DE125560)は口径の記載がありませんが、販売されていたものはf6.3で、画角は100度です。焦点距離は50mmで出図しています。描写がダゴールのような玉です。
遠景は被写界深度があるので比較的大丈夫ですが、距離が近くなると周辺が良くありません。70度かそれ以下が限界のように思います。
ルドルフは1918年に最初のアリストスチグマートの改良と思われる設計を申請しています(独特許
DE322506)。貼り合わせを増やしてガウス型になっており、f4.8です。f6.3より収差配置をあまり変えずに明るくしています。焦点距離は25mmで出しています。ガラスが小さくなり過ぎるので広角での製造は現実的ではありません。
同じ特許に広角も載せられています。f6.8なのですが画角は上と同じでした。焦点距離は25mmです。
ルドルフは1924年の上掲のf3より22日後に貼り合わせを無くしたf4のアリストスチグマートの改良を申請しています(独特許
DE420825)。特許にはf4とありますが実際にはもう少し暗く、f4.4の製品もあるようなので、これがその改良である可能性があります。画角は56度のようで、焦点距離は40mmです。かなり良さそうなのですが、50mmにしても絞りが入りそうにないぐらい小さい玉で少し長くしないと味も出そうにありません。
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