無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




ルドルフによるガウスの結論 アリストスチグマート Aristostigmat
「院落」P13 60mm f4.4

2024.12.02

 アリストスチグマート Aristostigmat(独特許 DE125560)は、フーゴ・メイヤー Hugo Meyerが1900年に特許を取り生産していた4枚型のガウスレンズです。パウル・ルドルフ Paul Rudolphが1924年に改良と思われる特許を取得しています(独特許 DE420825)。しかしこの改良が製品に反映されたかはわかりません。1900年の設計はf7.7、ルドルフの改良は特許にはf4とありますが実際にはもう少し暗く、f4.4の製品もあるようなので、これがその改良である可能性があります。ルドルフは他にもガウス型で特許を取得しています。

 1900年の設計は口径の記載がありませんが、販売されていたものはf7.7で、画角は記載があり60度です。貼り合わせを無くしたダゴールという印象です。
Aristostigmat f7.7 ガラス配置図 Aristostigmat f7.7 縦収差図

 ルドルフが設計した方は、計算値ではf4ですが製造は不可能で、確かにf4.4なら可能という感じがあります。画角は不明で、一応45度にしています。風景用から肖像用に変えたのかなと思うぐらいの違いがあります。キノ・プラズマートのように撮影するのが大変な玉なのかなという印象です。製造は焦点距離 62mmより可能です。狭くなりますので、周辺の乱れが切り取られて少し使いやすくなります。
Aristostigmat f4.4 ガラス配置図 Aristostigmat f4.4 縦収差図  本作を復刻する意義があるのかわかりませんが、キノ・プラズマートを設計した同時期の作品ということで一定の価値があるのではないかと思います。



 ルドルフは1918年にアリストスチグマートの改良と思われる設計を申請しています(独特許 DE322506)。貼り合わせを増やしてガウス型になっており、f4.8です。f7.7より収差配置をあまり変えずに明るくしています。
アリストスチグマートの改良 f4.8 ガラス配置図 アリストスチグマートの改良 f4.8 縦収差図
 同じ特許に広角も載せられています。f6.8で画角は70度です。
アリストスチグマートの改良 広角 ガラス配置図 アリストスチグマートの改良 広角 縦収差図

 ルドルフは1924年の上掲の4枚玉より22日前に貼り合わせ有りでf3となるアリストスチグマートの改良を申請しています(独特許 DE420223)。f3では製造困難でもう少し暗くなります。これは100mmを超える望遠でなければ作れません。
アリストスチグマートの改良 f3 ガラス配置図 アリストスチグマートの改良 f3 縦収差図
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