より近く、より美しく捉えるマクロ・プラズマート
マクロ・プラズマート Makro Plasmatはレンズ交換式以前のライカに取り付けられたり、他のカメラにも一般のスチール撮影用として使われているのでマクロではないという認識が一般的のようです。ですが、これはマクロとして設計された筈です。実際マクロに寄れるし、そのために色消しも入念に行われています。ただカメラの方が追いついていなかっただけではないかと、マクロ用だから性能も十分、そのために転用されたのではないかと思います。しかしそれでも真価を発揮するのはマクロ撮影です。
ドイツのマクロ専門サイトにてローランドさんが撮影したものが4つあります。(同サイト内で探せばまだありそうです)
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Turkestanische Tulpe
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Farnwedel mit Rotbuchenblatt
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - Feldahorn
Meyer Görlitz Makro Plasmat 2.7/105mm - durchstrahlte Baldachinspinne
リンク切れがあってはいけませんので、ローランド氏渾身の力作と共にスクリーンショットを1つ掲載します。氏の作品は全て105mmでの撮影です。マクロですから長い方が良さそうです。それでも75mmぐらいが汎用性があって良さそうです。しかし以下では50mmで出図します。
結果的に後代の設計を見るとルドルフがマクロ広角にビオメター型を採用したのは筋が良かったことが証明されていますので、歴史的影響の点でこのマクロ・プラズマートの発明は価値があるものだったということになると思います。そして最初期のこのレンズこそが最高のものではないかとも思います。
マクロ・プラズマートは、2つのデータが残っています (独特許 DE456912、英特許 GB261326、米特許 US1812717)。実際に製造されたものは最後の4番目の設計です。画角は64度(35mm)に広げることができ、口径もf2.9まで上がりました。製品化されたのはこれだったようです。口径は実際にはf2.7までありますので、それで出図しています。しかしマクロという前提なので最長1mからという計算で、それでf2.9というスペックになっているものと思います。焦点距離35mm相当の画角は茶線、ラージフォーマットは青線、緑線はライカ判です。
マクロに寄る場合、スペック的にはレンズの先端から30cmぐらいが限界と思われます。かなり寄りますので暗くなり、開放でもf3.2ぐらいになります。まだ寄れると思います。距離は無限から30cmまでで鏡胴の繰り出しが約9.5mmです。これを1回転で合わせられるようにしますと、一般的なレンズと比較して2倍ぐらい早く回転します。