無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




ウルトラスチグマット Ultrastigmat
「醉墨」E2 50mm f1.9

2015.11.17

ウルトラスチグマットはテッサーからエルノスターへの過程

 シカゴのチャールズ・マイナー Charles Minorが発明した新型の4枚玉が開発されたのが1916年(米特許 US1360667)、そしてガンドラック Gundlachがそれを基に商品化したのがウルトラスチグマット Ultrastigmatでした。そしてこれが後にエルノスターとして結実したのではないかとされています。

 テッサーから1枚増やしたもののようですが、しかし収差はキノで、テッサーとは全く異なるものなのでテッサーを改良しようとしたものではないのは確かと考えられます。特許では3つの設計がありますが全てf2と指定されていますので、ハリウッド向けを念頭に設計したものであるとも推察されます。にも関わらず、ガンドラックは会社を売却した後、異なる製造販売会社を設立すると、可能であるとの理由からかf1.9に変更しました。ハリウッドはf2超えを認めませんので受け容れなかったと思われます。権利の問題でやむを得なかったのではないかと想定されます。以下は全て焦点距離 50mmです。

 特許記載の1つ目の設計は貼り合わせのない4枚玉で、製品化されたのはこれだったようです。米国製造に比較的多い印象ですが、コストを優先したのかもしれません。
ウルトラスチグマット1 ガラス配置図 ウルトラスチグマット1 縦収差図
 2つ目は後群を貼り合わせて画角を65度から80度にしたようですが、65の方、80度の方もいずれもそんなに画角はないように見えます。収差のタイプが変わっていますが、これは製造販売されていないようです。f1.9には届いておらず、f2です。
ウルトラスチグマット2 ガラス配置図 ウルトラスチグマット2 縦収差図
 3つ目は絞りの位置を移動しています。f1.9です。
ウルトラスチグマット3 ガラス配置図 ウルトラスチグマット3 縦収差図
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