2023.04.08 新宿・初台
金属に柔らかみがあるのは、本設計の特徴である「ピンがわずかに甘い」ためであろうと思われます。チリチリした収差も石組みに溶け込んでいます。
これはトリミングしました。焦点は左の枠です。そのため、顔の右半分からボケています。前ボケの活用はどの場合でもそれほど簡単ではありませんが、この玉に関しては比較的使いやすい傾向です。
まだこれぐらいの距離感であれば、乱れた収差は出ません。若干チリチリで硬質感、それが実在感に繋がっています。
あまり絞るのもどうかと思い、f4ぐらいにしました。f5.6ともなると特徴のない標準的な画となりますので、その手前、倍の明るさですがそれぐらいで撮ってみました。癖が少し残留しますので動画ではこれぐらいで良さそうです。スチールではf5.6の方がいいかもしれません。
人工光に対する反応、ここでいう人工光は黄色のライティングについてですが、結局、こういう光をどのように表現すべきかということを考えて、少し硬質なボケとなったのではないかと思います。光に立体感が加わります。
少し薄暗い場所ですが、背景の硬質感が感じられます。絵画にも似た表現です。
対して、白い光は実物より明るさと華やかさを感じさせます。そして対象の人物は浮かび上がります。
こういう場所は非常に多くの光源がありますので、影が残像のように滲んでいます。実際に動いてもいますのでその揺らぎもあります。映画用の玉ですから、こういう動いたものの表現は秀逸です。
手前の譜面台は背景と切り離されて浮かび上がる傾向です。画全体に占める面積の少ない対象なので埋もれやすくなりますが、それでもかなり明確です。
f4ぐらいでは少し甘いです。こういう画はやはり明瞭である方が良さそうです。