これ以降は、SDカードを新品に変えているので、色彩異常は治っています。
2023.03.13 銀座1~4丁目の古いビル
3時頃まで雨が降っていたので光が柔らかくちょうど良いということで4時頃からの撮影です。
乗る電車を間違えたので日比谷駅に降り立ちます。地上に出ると帝国劇場があります。ポスターの貼ってあるあたりは陰で少し暗め、看板は屋外で明るい場所にあると、光のコンディションは異なっています。避けたい構図です。しかし天候は曇りなので悪影響はそれほど顕在化していません。「帝国劇場」の文字の後側にあるライトの滲みがスピード・パンクロ特有です。人工光に反応、これは改めて撮影検証せねばなりません。
スピード・パンクロの大きな特徴として1つには、ガラスの描き方が挙げられそうです。ガラスを通してみた何か、これがあまりにはっきり見えるのも品がない、ボケ過ぎていても汚いし、ガラスを通した良さというのを追求したらこうなる、と思える描写を見せます。この中にも小林一三銅像があるらしいのですが、入場できなかったため未確認です。
全く同じ時間に撮影しているにも関わらず、天井は夜のように写っています。硬くも柔らかくもない、極ナチュラルなので、現代のレンズと共通したものがあります。似たレンズがたくさんあります。ですがそれにも関わらず、飽きやすいものとそうでないものがあります。
丸の内仲通りを横切ります。これはモノクロの方が美しく撮れそうです。
新有楽町ビルヂングです。f5.6ぐらいで撮りましたので全く無収差です。特徴は一切出ていません。色もこのままです。この日の天候の基準、それと今日のテーマは古いビル、まだ銀座には入っていませんが、古いビルなので撮影してみました。
東京国際フォーラムです。ボケの匙加減が秀逸、キノ(映画)用レンズではありますが、スチールでも普通に使えます。
山手線高架下を潜ります。暗いので少しブレています。こういう光は映画では比較的使われそうです。こういう構図を携帯などで撮るとわかりますが、なかなか絵になりません。適切な収差は必要であることがわかります。最近の携帯は進歩しているようですが。
銀座1,2丁目の間を東に向かい、奥野ビルに到着します。
こういうタイルは現代でも作られているので保守管理も可能、新たに建築もされますが、何でしょうね、やはり昔の設計建築はどこか違います。味があります。職人の好み、癖があります。一方、現代はシンプルで、好みが分かれにくい手堅さがあります。レンズについても同じことが言えそうです。
写真というと原則的には手前のドアに焦点を合わせるものと思います。しかしこのような構図の場合、奥に人物がいるわけですから、どうしてもピントは奥になります。映像では手前より奥へフォーカスしてゆくような演出もあります。スチールでは手前のドアやガラスタイルの占有率が高いこの構図ではうるさいですが、映画ではありそうです。前ボケが比較的綺麗なので使いやすいのですが、収差が足してあるキノの設計で前ボケをまとめるのは簡単ではないと思われるので、かなりの研究考証があったものと考えられます。
これだけタイルがバラバラということは、職人が1枚1枚製作したものと思います。現代建築では、こういうところよりも、如何にして外光を使うか、昼と夜の対照などで演出することが重視されているように思えます。そのためガラスが多く使われる傾向です。昭和以前の建築は暗い感じになりますので、こういうものは無くなってきていますから、徐々に見られなくなっていきそうです。
地下を先に見にいきます。かなり近いところにピントがあるので背景のボケが強くなっており、回転して混ぜたような収差が出ていて煩わしい印象です。しかし映画で人物が移動しているなど動きのあるシーンでは非常に見やすくなります。目がついていきやすくなります。
地下の元は物置だったと思われる部屋がインポートファッションの古着屋になっています。鉄扉に焦点が合っていて、奥に吸い込まれるような印象です。前後のボケはかなりテストを重ねて決定されたものと思われます。
このような古いエレベーターは付近の三越本店や高島屋にもあったと思います。百貨店では自動で閉まりますが、ここでは手で開け閉めする必要があります。つまり小豆色の鉄扉と黄色のアコーディオンの両方を手動で開閉します。きちんとしないと不快なブザーが鳴り続けます。めんどくさいエレベーターです。しかも昇降する箱は新しいものに変わっているなど保存が中途半端です。
古い建物なので共用部分で外光が入るところは多くはなく、内部はかなり暗いので電灯を使っています。ここは少し光が入る場所です。ナチュラルな光さえ得られれば、仄かなパステル調の発色になります。
人工光でも自然な光であれば同様の傾向ですが、それでも人工光は少し硬さがあるのがわかります。
硬さを活かすと、明瞭さと透明感を表現することはできます。
クラシックな発色の電球や黄色い光の蛍光灯にはかなりはっきり反応します。肉眼で見たより少し黄色く映ります。色収差が多いためと思います。古風に写りますのでこれを活かす作画ができそうです。
電球は確かに黄色に写るのですが、光が強い電球付近では比較的白に近くなります。距離を置くと黄色になります。
様々な店舗が入居しているので使っている光も様々です。青白い光、暖色の光が混じり合い、妖艶な雰囲気です。
両方の光が混じっているのは曖昧になりがちで良くありません。これはどのレンズでも同じだと思います。
ですが、太陽光と人工光が混じるのは問題なさそうです。
外に出まして昭和通りを進みますと、ケイウノ銀座本店があります。柔らかさを重視、パステルカラーの建築資材ですが、似たもの同士では少し合わない、工夫が必要です。具体的には少し絞って守りに入ります。ボケ玉全般がこういう対象は苦手の傾向があります。これが全て太陽光なら全然大丈夫ですが、人工光があるのであれば、それだけに絞っての構図の方が良さそうです。
岩瀬博美商店は戦前の貴重な建物です。若干硬質のボケが浮き上がる文字を魅力的にしています。
かなり対象に寄ったところでフラットな部分ですが、鮮明なのは中央付近だけで、壁から出ている鉄柱から端の方へ、また28-14の表示あたりはボケています。そんなに収差の目立つ設計ではないとはいえ、実際にはそれなりに収差は込められています。キノとしてはあまり足していないというだけです。
距離は大体同じですが、これは斜めからです。若干ぐるぐるボケが出ます。これはそんなに出ない、かなり出やすい構図を選ばないと出ません。キノでは重要な収差ですが、これは顕在化しない方が良い、つまりグルグルは出ないように使うのが良いのですが、収差自体は足さないと目に優しい映像は撮りにくくなります。そこで結構念入りに収差量を追い込んだものと思われます。後にこの収差を改良するのですが、やっぱり前が良かったのか、また戻すなど一時期迷走しています。
隣のビルに移っていき、距離は少し離して斜めからです。立ててある枝やサボテンに存在感を与えているのは左奥のボケです。
鈴木ビルも歴史的建造物です。
昔は豪華な印象を与えたであろう鈴木ビルの外観です。この背景のボケは、海のような広い風景を背にした時に絵画的に写りやすいものです。キノ特有のボケです。
入れそうだったので中も見てみます。昔は公演や稽古事などに貸し出していた場所で、2階に広い舞台があったと外に掲示されていた銅板に書かれてあります。舞台は見れませんでしたが、チケット売り場だったと思われる小窓などが確認できます。劇場をかなりコンパクトにしたような構造です。
松屋東別館です。これはf5.6ぐらいに絞っています。玄関を1つ潰して自動販売機を置いていますので、これがなければ結構風格のある建物です。
もう解体が決定しています。近日中になくなるようです。
珍しいドアノブ、窓の下の謎の木片など、よくわからない部分が複数見受けられます。利用価値が無くなっての解体だと思うのですが、1つこうしてなくなるのは残念です。
銀座の天使という結構立派な名前を頂戴しているが、彼の関心はかなり狭い範囲に限定されているらしい。一緒に調べたが、特に問題はなかった。
銅像としてはコンディションが良い。通常、酸性雨などで青錆が出ているものですが、これだけ艶やかな表面を保っているのはなかなかないのではないでしょうか。綺麗にしていないとモテない、彼にとって特に重要な点であると視えます。これは薬品で定期的にメンテしていると思われます。
ヨネイビルにあります銀座メゾン アンリ・シャルパンティエです。徐々に夕方に近づいていますが、まだ暗くありません。強い光で露出が抑えられています。天候が曇りの多い英国の玉なので、こういう対象は得意と思われます。
石材の写り方もより実在感があります。彫が深い、だが詳細に描くわけでもない、キノ特有の特徴です。女優を撮る場合に必要な要素です。
外は太陽光、中は電球です。混じってはおらず、窓枠で明確に分けられています。石材の重厚感、光の柔らかさが調和しています。
欧州の古い建築で、こういう半地下は結構あります。地階にも窓があって光を取り込めるようになっています。日照時間が短いので脱ぎたがる、法整備までさせても脱ぎたがります。デモもやります。日の出る国の民である我々には理解し難い感覚です。
先ほどとは角度を変えてもっと明るく写るようにしました。焦点は電球です。ボケが率直で具合が良い、レンズの枚数が少ないシンプルな設計が結局は飽きない要素と思います。しかも絞りより前3枚の屈折率はほぼ同じ、絞りの後の貼り合わせもほぼ同じ、実質3枚です。
欧州建築は石が多いので、描き方は全く卒がない、それでもスチール用ではここまで強く出さない傾向です。
暗くなってきてまた奥野ビルに戻ってみました。まだ営業している店があります。絞りはf5.6です。
暗くなると色彩はかなりしっかり出る印象です。これは基本、どの玉でも同じと思います。
若干鮮明さを失っているのは暗いことでブレたものと思います。右の室内は店舗なので中央が開放的で奥の窓からの自然光がありますが、この時間帯では外光はないので色彩が強くなっています。少し見てすぐに出ます。
有楽町駅の方へ向かいます。さらに夜の写り具合を確認します。どのレンズでも共通して言えることだと思いますが、暗くなると固有の特徴が抑えられます。その代わり、夜になるとダメになる玉が多いです。ダメになるということは特徴が出ているからとも言えますが、特徴が消されて潰れる玉が結構あります。名玉はほとんど大丈夫です。
遠景の2枚は絞りましたので、普通に撮れています。
焦点から背景はかなりの距離を離していますので、背景は強くボケています。それでも雲の形状は観て取れます。キノとしてはそれほどのボケ玉ではない、ですが、背景の中央はボケが強く、周辺の方が鮮明です。この歪みはキノ特有です。強い癖が出ない、一歩手前で止めることで、大抵の撮影対象を自然に撮れるように配慮されているものと思います。