2023.03.08 岡山・伊部にて備前焼の窯元・小西陶古で20年以上職人をやっておられる先生に案内いただきました。そのため小西窯のみ見て参りました。
この二枚はf4~5.6ぐらいに絞っていますので普通に写っています。
軒下で少し暗いところです。オールドライカでよく言われるのが「空気が写る」ですが、これは「影を描き」ます。
前ボケは普通使えないのですが、この玉はそれほど収差が強くはないこともあり安定しています。それでも後ボケほど美しいわけではありません。そこでこのようにガラスを通すとどうなのか? 柔らかい幻想的な感じになりそうです。
正午前でしたので日差しが強く、そこへ開放で撮るものですから露出を抑えるとこのようになりました。繊細さが完全に失われています。にも関わらず、背景はしっかり「影」を捉えています。現代の驚異的なISOを備えたデジカメであれば、全く普通に写った筈です。
背景がうるさい。スピード・パンクロ特有のボケが活かされていません。このような場合は少し絞り、対象範囲を広げ、ボケを抑えるのが良しと思います。ここは少し蛍光灯の光が青いようで強く反応していますが、とにかく人工光に反応します。色収差の反転によるものです。映画は人工光を使うので反応するように作っています。しかしこれは良くありません。紫が強く出るのはSDカードの不調、この2つの要素が重なったようです。
平面ですが僅かに奥行きもある構図です。ほのかな陰影の表現が日本の文化に合いそうです。
外から日光が強く射している構図です。収差が強い玉ではキラキラしてしまい潰れますが、一方で無収差では鋭い光がリアルに表現されてしまいます。その中間、ちょうど良い具合です。
モノクロ時代の玉ですから、彩度が下がっても良さそうです。この時に色収差が活きています。パステル調に写っています。しかしこの玉は色収差を足していると言っても反転させているので、他のパステル型の玉とはやはり違っています。
肉眼ではもっと濃い色です。
太陽光に近いところでは現実の色になります。繰り返しますが人工光に反応します。
店を通り抜けて奥に出ます。屋根はありますが半露天となり、制作が終わった作品を干しています。湿度がいけないようで、焼くまでの保管では十分な乾燥がないと焼成で割れるようです。
光の状態が少しずつ違う3点です。単に光を柔らかく受け止めるだけでなく、陰影も彫りが深いし、対象も浮かび上がらせます。かといって強すぎるわけでもなく控えめです。自然な落ち着きがあります。
比較的暗いところに鈍い光が射している構図です。レンブラント光のよう、絵画的に描いています。そしてこういう柔らかい光の下ではパステル調の色彩になります。
中庭よりさらに奥に進みますと工房です。室内に入ります。古い建築でも工房というのはなかなか見られないので珍しさがあります。
結構職人がいて、それぞれ得意分野のものを制作しているようです。
小さな花瓶です。備前というと朱泥と言われますが、焼いてようやく朱色になるようです。
工房より奥に登窯があります。これが最大級で、他の場所に穴窯という部屋の仕切りのない窯、登窯ももう一つあります。さらに小型、中型の四方窯、電気窯が複数と、とにかくたくさんの窯があります。窯内に棚を作って作品を並べ、下から焚き火で熱を送り、さらにあちこちに開いている穴から熱した炭を投入します。
車で別の場所に移動し穴窯を見ます。内部が筒なので熱がすぐに上まで上がってしまい管理が難しいようです。しかし古典作品のためには必要なのでしょう。急ぐ作品もあるので小型の窯も複数あります。
また店に戻ってきて、今度は道を挟んで向かいにあるギャラリーの方を鑑賞します。
割れ方にインパクトがあったのか、入り口入ってすぐのところに置いてあります。
こちらは建築が新しいということもあって充分な自然光で本来の色彩が出ています。
ここは2階もありますので続いて作品を鑑賞します。
ピンを前から後ろに段階的に移動しました。主題の引き立ち方が変わってきます。どれも使えそうです。
いずれも光の扱い方が難しい構図です。1つ目は作品にではなく書き付けにライトを当てています。本来控えめであるべきものにスポットライトが当たっています。これは写真で何かを語るのは難しい、書かれている内容次第ではありますが、これだともう少し構図を変えるなり工夫が必要です。2つ目は光が強いので明確な影が出ています。しかしスピード・パンクロはこのような題材の処理が得意なようです。コーティングに頼らずに光学設計で陰陽を描きます。
レンズのヘリコイドを全部繰り出し、フランジから外して被せるように載せると、フランジの部分で数mm前に出ます。これでまたマクロ撮影を行います。
この感じであれば、チューブをつけてさらに寄ることもできそうです。
これにて備前での撮影は終了しました。