2023.11.20 お茶の水
お茶の水に行きます。駅前に楽器街があります。
しばらく行くと「山の上ホテル」が見えてきます。昭和の建築です。来年2月より解体ということなので見に行きます。
非常に細かいところの装飾というのは現代ではなくなっています。コストの問題だけではないようです。天然松脂の復刻をやっている光舜堂は本業がデザイナー建築なので、こういう職人の知り合いもいます。その鉄を扱う大先生曰く、松脂の質が下がったから物が彫れなくなった、と。そこで従来の良かった時代の松脂を送ってもらうとそれは天然でした。工業松脂では細かいものは作れないと。型取りで使うようです。供給の方まで大量生産化してしまうと職人はお手上げになるようです。
今や珍しいタイルです。昭和の建築は内部が暗いですが、暗いから良いという面もあります。静謐で濃厚な空間というイメージがあります。ですからホテルには合います。そういう環境でこのタイルは高級感があります。
設計図も美しい。タイルのデザインも記載されています。
フロントの正面に奥に向かう通路があって従業員スペース、それが赤いカーペットの部分です。その手前に黒いソファーがあります。ソファーの真上に設計図です。フロントが混んでいたらここに座るのですが、フロント側には向いていない。こういう微妙な配慮がホテル鑑賞のツボでしょう。
文豪が投宿する宿というと田舎の温泉旅館を想起させますが、ここも結構人気だったようです。
昼なので閉まっています。雰囲気の良さそうなバーです。
現代建築であれば壁一面がガラスなど十分な採光がありますが、古い建築なので日中でも人工光が活かされます。ホテルの場合はこの方が良しということをこういうシャンデリアを見ても感じさせます。
毎日使われ、いろんな人々によって酷使されますが、しっかりしています。昔のものは良いものは良いですね。
タイルがエキゾチックで素晴らしい。空間に高級感を与えます。
どこか御伽の国のような印象があります。ホテルですから西洋の影響は多少なりともあるわけですが、ちょっと外国を感じさせるような、そういうものがあります。
木製の建具や家具で昭和のものというのは、全く装飾性なしというものが多いです。
門扉とデザインを合わせています。
小さいホテルなのですが、飲食店がかなり多い印象です。宿泊客以外も多いようで、それはやはりこの建物の雰囲気もあると思われるので解体は勿体無いのでは?と思います。同じ感じは新築でも出せるのでしょうけれども、何か変わりますから。
裏口玄関にある案内板です。サボテンですか?
外に出まして歩いていますと、かなり古い教会があります。東方正教会です。味のあるデザインです。
お茶の水駅あたりは人工の堀です。徳川家康が伊達政宗に掘らせたものです。そこから良質の水が湧いたので、現在のような地名となりました。東京は水が良いとも言われます。
有楽町まで列車で向かい、帝国ホテルに行きます。ここも春までに解体されるからです。
紅白の飾りがあるのは、結婚式場もあるからと思われます。
チェックインカウンターです。穏やかな光の使い方が印象的です。
これは復刻とあり、二代目の建物、日比谷にあった頃はこのような装飾でいっぱいだったようです。写真で残っていますが、壊したのはもったいなかったのでは? 今の建物は3代目でこれも壊すわけですが、なんとも言いようがありません。
この建物は50年になるということなので、高度経済成長期のものということになります。当時は非常に高級感があったのでしょうけれども、今でも雰囲気はいいですね。
こちらは別の入り口の上部なのですが、要人も宿泊するので、そのための入り口と思われます。より静かで落ち着いた印象です。
荷物を保管するエリアと思われます。規模の大きさに驚かされます。
あちこちに昭和の感じがあります。こういうものはどんどん無くなるのでしょう。
別館の方のショッピングエリアです。今となっては古いのかもしれませんが、これだけの高級感はもう現代では出せないとも思います。