無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




ヘクトール50mmをモノクロフィルムで試してみる

使いにくい感があるヘクトール50mmをモノクロフィルムで確認する - 2013.05.07

 ライカのヘクトール50mmというと、どちらかというとレア玉の部類に入ると思います。市場には常に出ていると思いますが、それはライカのオールドレンズだからで、もしこれがもっとマイナーな会社のレンズであれば見つけるのは困難だったかもしれません。レア玉ということは製造個数が少ないということで、当時は人気がなかったということになります。高いし買うべきでもない玉と言えます。エルマーやズマールは安いですが、製造個数が多いためで人気があった良い玉です。これらは購入を強くお勧めしますが、ヘクトールはやめた方が良いと思います。73,135mmのヘクトールは素晴らしいレンズですが、50mmは難しいレンズです。ともかく、以下に作例を載せるので参考にしてみて下さい。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 烤肉麻辣  右が料理屋店内で左が屋外ですから、光が差し込んでくるライカとしては絶好の構図の1つです。しかしこの画を見ても特に引きつけられる要素は見当たりません。凡庸というとそこまではさすがに言い過ぎですが、その他のオールドライカレンズのパフォーマンスを考えた時に、これでは疑問を抱かざるを得ません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 子供を見守る2人の大人  露出は少々多すぎたかもしれません。しかしそれにしても少年の衣服の輝きは不自然です。覆い焼きを施す必要がありますが、ディテールが潰れて救いようがない可能性もあります。ただ、立体感や遠近感は見事なものがあります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 中医按摩  露出が適切であれば、画は非常な冴えをみせます。気持ちよく明瞭に写りますが、だからといってエルマーを越える何かは見つかりません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 雑貨屋に群がる子供  これは思うに、露出を失敗しています。それでも大きくは逸れていない筈で、少し不足している程度だと思います。すごくシビアな感じがします。露出が合っていないとあまりにも簡単に鮮明さを失う気がします。スナップ向けではないかもしれません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 古い大学の建物  すごくコントラストの差が大きいと潰れやすいということで、これを例にしてみましたが、極力樹木と校舎が写るようにと露出を高めに振ったものです。天気の良い日にこのレンズは避けた方が良さそうです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 高価な古琴  ここからは露出が適正だった画を見ていきます。下から上に向けて撮影した古琴です。これは100万円ぐらいのものです。店頭で見られるものとしては高価ですが、億の価格が付くものもありますので、一般的な高級品というところかもしれません。名工の作品は新品でも100万円では購入できません。焦点の合ったところが艶やかな感じがして良い印象があります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 バイク  楽器店を出て外の歩道を見ますとバイクが停めてあります。結構近い距離で撮影しています。ポートレート向けの表現という感じがしますが、そうであれば同じレンズ構成の73mmの素晴らしさは十分に理解できるような気がします。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 火鍋  これも先程とあまり変わらない距離でちょうど1mです。こういう近いものを撮ると冴えてくるような気がします。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 可乐球  これも1mぐらいです。なかなか良い雰囲気です。「可乐球」とあります。中に入るとあるようです。これは何でしょうか。これまで聞いたこともありません。そこでネットで動画を見て学習しました。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 変電機  このように備品が車の当たりを受けると傾きますが、そうすると修理がやってきます。修理工は壊れた地面を固めただけで帰っていきました。傾いていても問題ないからまっすぐに直す理由が見つからないからです。皆さんは日本人だから、どうして真直ぐにすべきか、直ちに回答が得られると思います。海を1つ隔てただけでどうしてこうも違うのかと思うことはしばしばです。両方足して2で割るとちょうどいいのですがね。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 老北京風俗図  この画を見てなんとなく思ったのですが、ヘクトールは3群6枚です。張り合わせは微調整なので、それがなかったとしたらトリプレットです。しかし微調整が効いているだけに周辺まで性能を保っています。それでいて、ポートレート的な対象の浮かび上がりが見られます。このレンズはそういう使い方をすべきなのかもしれません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 火烧  夜撮影した時の優しげな描写と華やかさはライカ独特のものがこのレンズにも宿っています。特にこのレンズの夜の描写は好ましいと思います。適度な緩さとその一方で毅然とした佇まいもあります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 酒楼  昼間は白いものの滲みが強かったのですが、夜は光源の滲みが強くなりがちです。しかしその捉え方は品があります。右の方に提灯がありますが、ほんのりとした明るさが感じられます。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 烤鱼  夜に電飾で客を呼び込む店は少なくないですが、串焼きの店はこのタイプの電飾を使うのは暗黙の了解で統一されているようです。必ず「串」という字に電飾を曲げたものを吊っています。肉を串に刺して炭火で焼きますので、朝鮮の焼肉や蒙古のジンギスカンなどとは違う文化です。ウィグル人の経営が多いのでシルクロード方面から来た物かと思いますが定かではありません。食品に対する人民の信用が低い中国では戒律が厳しいイスラム教徒の手がけた肉を信用できるものと見なす傾向があります。串焼き肉は東南アジアが多いのでその方面とも関係があるかもしれません。音楽や戯劇も東南アジアと共通性があるからです。


 ということで、批判しているのか評価しているのか、よくわからない分析となりましたが、結論として50mmのレンズとしては他にもっと良い選択肢があるし、ポートレートとして使うのであれば、73mmの方が良いのではないかということでいいのではないかと思います。このレンズはこのレンズで独自の個性はありますが、それを結構な金額を払って買う価値があるかどうかということになれば、それを見いだすのは容易でないと思います。とにかく、太陽に弱い、曇り以下の環境であれば十分なパフォーマンスを発揮すると思います。

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