無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業




タイプで分類されたアンジェニュー

レンズ構成によって分けられたアンジェニューレンズ - 2012.07.09


 現代の多くの写真家はレンズ光学部の構成に深い関心を払うことはほとんどありませんが、オールドレンズの愛好家にとっては重要です。様々な構成の光学設計が行われ、基本パターンはほぼ決まっていたので、そのうちのどれが採用されているかを知ることは、そのレンズの特徴を知ることにも繋がるからです。多くはレンズ名を確認することによって内部の光学設計を知ることができ、またある物は打ち込んであるパテントナンバーを参照することによってそうできます。しかし一般にメーカーはユーザーに対してレンズ構成を明確にすることには無頓着です。積極的でもなければ隠しているわけでもありません。一般にレンズ構成というのは目的ではなく手段ですから、性能やコストなどいろんな要素の中から1つの基本パターンを取り出しては変更を加えていくので設計師にとって「何々型のレンズ」というのは非常に重要な、或いは決定的な意味を持っているわけではありません。レンズ設計を追求するのは作られたものを分析する側の道理なのです。

 そのことを考えるとアンジェニューの分類方法は興味をそそられるものがあります。彼は設計師でありながら、個別のレンズ構成の違いにも関心が深く、このことはまるで愛好家のような視点も持ち合わせていたことを示しているからです。彼は自作のレンズがどのレンズ構成を採用しているか明確にわかるようにアルファベットのタイプ型号を明記していました。アルファベット1つに続いて数字が1桁ないし2桁という構成です。アルファベットがなく数字2桁というものもありますし「空」というものもあります。その分類リストをシリアルナンバーと共に、ここで明らかにしておきます。

 この中からズーム、引伸用のレンズを省いて細かくリストします。

R : Retrofocus レトロフォーカス型

 アンジェニューと言えばすぐにレトロフォーカス型が連想されるぐらい有名です。最初のR1の発表は1950年3月でした。

R: レトロフォーカス型
S: ダブルガウス型 4群6枚
X: テッサー型 3群4枚
Z: トリプレット型 3群3枚
V: トリプレット型 3群3枚
Y: エルノスター型 4群4枚
P: エルノスター型 4群5枚
J: 不明 8mmムービー用の広角
K: 8mmムービー用ズーム
L: 16mmムービー用ズーム
B: ムービーかプロジェクター用ズーム
T: ズーム
U: 105mm f4.5以外は引伸用
M: NASAに供給された35mmムービー用
R1 35/2.5
R2 18.5/2.2
  24/2.2
R7 5.9/1.8 16mm Cine
R11 28/3.5 (ALPA)
  28/2.8 エキザクタ用プロト
R21 10/1.8 16mm Cine
R31 6.5/1.8 8mm Cine
R41 16/1.3 16mm Cine
R61 24/3.5 (ALPA)
  15/1.3 16mm Cine
R62 14.5/3.5


S,M : DoubleGauss ダブルガウス型
S1 25/1.8
  50/1.8 Alitar(ALPA)
  100/1.8
S2 28/1.8
  32/1.8
  40/1.8
  50/1.8
S3 75/1.8
  100/2
S5 50/1.5 16mm Cine
S6 75/1.8 16mm Cine
S21 50/1.5
S41 25/1.4 Bell & Howell for 16mm
  75/2.5

M1 25/0.95 NASAへ供給,16mm
  25/1.4
  50/0.95 NASAへ供給
M2 28/1.1 16mm Cine
  35/0.95 16mm Cine
  50/0.95 16mm Cine


X : Tessar テッサー型
X1 35/3.5 Alcorar(ALPA プロト?)
  40/3.5
  75/3.5
  100/3.5
  100/4.5
  105/3.5


Z : Triplet トリプレット型
Z2 45/2.9
50/2.9 Alpar Alepar(ALPA)
Z3 75/3.5 Alsetar(ALPA)
  75/4.5 プロト?
Z4 75/3.5 16mm Cine 色収差極小 レア
Z5 50/2.9
  70/3.3
  75/2.8


Y,P : Ernostar エルノスター型
Y1 90/2.5 Alportar(ALPA)
Y2 135/3.5 Alogar(ALPA)
Y12 90/2.5 Alfitar(ALPA)
Y32 35/1.8 8mm Cine

P1 90/1.8
  90/1.9 f1.8の間違いか?
  100/2.5
P2 100/2.5 16mm Cine
  135/2.5
P3 75/2.5 16mm Cine
P4 150/2.7 16mm Cine
P21 180/4.5 Alitar(ALPA S1の名称が転用されている)

APO 180/2.3 6群8枚


U : 不明
U1 105/4.5 中判6x9


シリアルナンバー
1935-41 15000
1942 15000
1943 25000
1944 40000
1945 50000
1946 65000
1947 95000
1948 120000
1949 150000
1950 175000
1951 188190
1952 205144
1953 252953
1954 333942
1955 374494
1956 422225
1957 457710
1958 489029
1959 656782
1960 772739
1961 892237
1962 983620
1963 1048806
1964 1089651
1965 1133553
1966 1165206
1967 1197971
1968 1218594
1969 1243618
1970 1276691
1971 1303945
1972 1363733
1973 1374029
1974 1388527
1975 1407046
1976 1425572
1977 1436738
1978 1445937
1979 1451571
1980 1460230
1981 1468987
1982 1473032
1983 1476845
1984 1484276
1985 1504607
1986 1517838
1987 1524041
1988 1548700

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