無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

淡い色彩が情緒を醸し出す
レトロフォーカス「古柳」R2 28mm f3.5

2015.11.25

巨大な前玉で拡大する広角レンズ

 20世紀の始め頃から、幻灯用スライドの投影の時、スクリーン上の画像を大きくするため「拡大レンズ」を使うことがあった。これは投影レンズの前側焦点の前に置く大きい凹エレメントのことである。このエレメントによりレンズ全体の焦点距離が短くなり投影された画像が大きくなる。これは通常のレンズの後ろに付けて、その焦点距離を伸ばすための凹エレメントと全く逆である。- 「写真レンズの歴史」第10章 逆望遠レンズ キングスレーク著

 と、このような説明が載っています。虫眼鏡のような原理ですから、これは光学初期の頃からわかっていたことだと思います。本格的に設計されたものとしては1929年に、ワイドスクリーンに近くから映写するために設計されたものがあり、大物の設計では1931年テーラー・ボブスン社のリー Leeが設計したものがありました。量産化されるようになったのも戦前で、当初は8ミリ用として作られ、エレメントを多用した極めて複雑な構成のもの、非球面さえ使ったものもあったと言われています。その後1950年代に一眼レフが出てきて、長いバックフォーカスのために再び逆望遠型が作られるようになり、そのうちの1つとしてパリのアンジェニュー社によるレトロフォキュ Retrofocusがありました。この商品名は逆望遠型全般(他社製を含めて)の通称となり、英語読みで「レトロフォーカス」として知られるようになりました。

 アンジェニューのレトロフォーカスレンズは35mm f2.5と28mm f3.5が有名です。特許は28mmの方でした (米特許 US2696758)。

レトロフォーカスの設計値
レトロフォーカスの光学図
 左巻きの理想的な収差配置です。レンズの特徴は選ばれる構成とガラスの並びも影響があるので、出図されたものだけではすべてはわかりません。レンズ構成の特徴は作例などを参照して掴んでおいたりしますが、特にこういった極端なものではなおさらです。レトロフォーカスは非常にコントラストの低い、淡い色彩になります。アナログ、デジタルに関わりなく、焼きで如何様にでもなるとはいえ、レトロフォーカス型レンズが作る特徴を壊すには至りません。このあたりが魅力であろうと思います。

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