無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

英国の肖像鏡
セプタック「香箋」G4 50mm f1.5

2015.11.23

 ダルメイヤー Dallmeyerの設計師 バートラム・ラントン Bertram Langtonという人は人種も含めて全く背景がわかりませんが、このセプタック Septac (英特許 GB553844) とスーパー・シックス Super-Six というボケ玉2砲、カメラ・オプスキュラ Camera Obscura用のトポゴン型レンズ (英特許 GB487453) といった奇玉を放ったことだけは知られています。英国は技術偏重で、しかも島国、とにかく和するのが重要で飛び抜けるのはご法度、閉鎖的であるのは間違いないものの、ある面では意外とそうでもない、といった屈折した精神性を持ち合わせていますので、そういった中でラントンのような人がダルメイヤーで職を得て、それなりに製品を産み出せたのは幸福であったと言えるかも知れません。英国でこういう玉を作らせて貰えたというのがかなりの驚きです。事実、商業的には歴史的参敗だったわけで、英国人からの評価はゼロ、大陸に渡って活躍した方が良かったと思いますが、彼の英国愛がそれを止めたのであれば、スーパー・シックスとセプタックという彼の息子たちの中に流れる英国的ボケ玉精神は類例がないものとして価値があると思います。

 息子ら2砲は、英国人のハートの中では不発弾ではありましたが、英国人の考える収差配置というものを吟味できる程の玉は少ないので、たいへん貴重な設計であると言えます。スーパー・シックスは球面収差がマイナスでしたが、セプタックはプラスなのでユーザーに2つの違った選択肢を用意しようということだったのだと思います。スーパー・シックスは汎用的なもので、f2.0に近い落ち着いた玉ですが、セプタックはf1.5でプラスなので肖像用に使っていける傾向の玉です。ズマリットと同じようなものだろうと思います。こういう50mmの標準レンズを肖像用と位置づけるのはこじつけの感がなきにしもあらずですが、そうしたくなるほど、英国にはこの傾向の玉がほとんどないと思います。

セプタック f1.5の光学図
セプタック f1.5の縦収差図
  開放f1.5ですが、これでまともに撮れるのか不安になります。

セプタック f2.0の光学図
セプタック f2.0の縦収差図
 f2.0に下げて出図してみました。これぐらいだと割と普通のレンズになってきます。そうするとf2.0~f1.5の間でどんな風に作画するのかということになってくると思います。

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