無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

フランスの大口径 アンジェニュー M1
「香箋」G2 50mm f1.0

2015.11.15

フランス人から見たガウス型の結論 アンジェニュー M1

 アンジェニュー Angenieuxが設計したM1、或いはM1と思われるデータが特許申請されて残っています (米特許 US2701982)。実際のM1はf0.95なので特許のf1.0とは少し違いますが、これだけの口径のガウス型はアンジェニューでは他にないので、これを以てM1とするに何ら問題はないと思います。しかしアンジェニューはここから放射能ガラスを使うなどで若干の変更を行い、明るさを僅かに稼いでいます。どうしてもf1.0を越えたかったというのはあったのでしょうね。しかし原則的には特許のデータで完成だったのだろうと思います。

 ガウス型レンズは英国で実用化されていったものなので、先行した研究としてリー Leeの特許を参考にしたことがアンジェニューの特許にリストされて示されています。英国は性能とか数値重視なのでかなり精度の高いものを作りますが、それだったらもう少し頑張れば大口径も作れるだろうと思ってM1のようなものができたのかもしれません。そうするとボケ玉になりますので英国人は嫌いますが、フランス人としてはそこは問題なかったのだろうと思います。

アンジェニュー M1の光学図 f1.0
 開放だとこのように光線が乱れています。ギリギリの許容範囲ということなのだろうと思います。明らかに許容範囲を越えていると思いますが、これだと隅は光量減少があると思います。絞りのあたりは鏡胴の設計段階で下の図のようになると思います。実際には組み付けやすいように処理されます。

アンジェニュー M1のパテント上の光学図

アンジェニュー M1の縦収差図 f1.0
  収差はこのような配置になっています。開放だと夜とか暗い室内で使われることになるだろうと思いますが、この時のボケ味を楽しむということになるのだろうと思います。

アンジェニュー M1の光学図 f1.4
アンジェニュー M1の光学図 f2.0
 一応、絞りをf1.4、f2.0と変えて見てみました。f1.0は絶対ないですが、放射能レンズで稼いだものはf1.0からf0.95ではなかったということなのだろうと思います。しかしf1.0で作っておけば、作画上のオプションが1つ増えますので、それで作ってみようと思います。そうしますと、これはアンジェニュー M1の復刻ではないということになります。M1はf0.95あたりでそこそこしっかり作ってあるのだと思いますが、それでも結構な収差なので、そこを踏み込んでf0.9とかそれ以上を見に行ってみたいとは思いません。だけどこの特許のデータでf1.0であれば、そのf0.95より先を見にいくような感じになってしまいます。それに必要性があるのかどうかはともかく、はっきり言えるのはM1そのもののコピーではないということになります。そこら辺がすごく重要なことであるとも思えませんし、違ったものができてくる楽しみもありますが、復刻すると言っている以上、そこは確認はしておかないといけないと思っています。アンジェニューが設計した放射能レンズを使わない大口径が出来てくるということだけは間違いありません。

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