無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

ベレクによる幻のゾナー「醉墨」E6

2015.11.15

ガウス型以外にも可能性を探っていたベレク

 大口径レンズの設計に苦しんでいたベレクはツァイスのベルテレが1923年に開発したエルノスターの驚異的な明るさや、続いて1929年に開発されたゾナーの優秀性に着目せざるを得なかった筈で、その2つを折衷したような設計案を特許登録しています (米特許 US2164028)。前群はエルノスター、後群はゾナーという構成でした。エルノスターはライカにとって焦点距離が長過ぎる、一方のゾナーは特許で保護されていたので、新味を加える必要があったためだろうと思います。ベレクはこの新しい設計を1937年に申請しています。

ベレク・ゾナーの光学図
 コーティングがなかった時代にはゾナーの3群しかないという(この例では4群)、それゆえ反射面が少ないというメリットは大きく、大口径も実現できたのでかなり理想的なレンズでした。しかし後にコーティングが実用化されたことと、フランジバックが短いゾナーは一眼レフには採用できず廃れていきました。ゾナーは全体のガラスの厚みが相当なものなので、かなりこってりした色彩感の味わえる素晴らしい設計です。そう考えるとこのベレクによるゾナーが量産化されず、オールドライカの豊かな資産の1つに加えられることがなかったのはたいへん残念です。

ベレク・ゾナーの縦収差図 f1.7
  特許には口径が指定されていないので探っていきますが、おそらくf2.0です。焦点距離は85mmがせいぜいで、これ以上短くできませんでした。

 これはズマール 90mmと比較することになると思いますが、実際に製造して比べたらズマールの方が良かったのではないかと思います。3枚貼り合わせもありますし、製造は見合わせた方が良さそうです。

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