無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

ベレクの50mmレンズ
エルマー・ヘクトール・ズマール・ズミタール
・ズマリットを比較する3

オールドライカ50mmレンズの描写について考察します - 2012.07.31


ライツ ヘクトール 50mm f2.5
Leitz Hektor 50mm f3.5

 ライカで最初に作られたレンズ、エルマーに採用されたテッサー型のレンズ構成は完成された素晴らしいものでしたが、スピードが稼げないという欠点がありました。エルマーは現行品でもf2.8ですから、枚数を増やしているとはいえヘクトールのf2.5は30年代の仕事であることを考慮すれば立派なものです。とはいえ、ヘクトール50mmの性能特性では現代では製品化するのは難しいでしょうから、やはりf2.8ぐらいが限界なのだろうと思います。

ヘクトール50mmレンズの光学設計図 ヘクトール50mmレンズの光学設計図

 限界ラインを超えてギリギリで設計している問題点?はあるものの、そこから見えてきたものによってヘクトール族のその他のレンズ、さらにはタンバールも設計されたことを考えれば、ヘクトール50mmの設計は大きな最初の一歩だったと見ることもできます。エルマーから一段明るくした、いささか不安定な、それでも魅力的なライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5の描写を今から見ていきたいと思います。

 作例は昨日今日の両日、鳳凰古鎮(feng-huang-gu-zhen)にて撮影しました。湖南省のずいぶん田舎にある古い城塞都市で、アクセスがたいへん面倒ということでしばらく二の足を踏んでいましたが、張家界に行くならそこからバスで4,5時間もあれば着きますので、思い切って行くことにしたものです。なかなか行くのは敷居が高いところですので、本稿はなるべくたくさんの作例を載せるようにいたします。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 花飾りを付けて写真を撮る女の子
 この描写はとてもヘクトール的です。花飾りを付けてうれしそうな少女に背後から入ってくる光が輝きを加えます。エルマーならもっと見事な仕事をしますが、ヘクトールの緩やかなトーンもいいものです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 首飾りを買う若い女性
 太陽光の量によって白濁が出ます。これはノンコートレンズだからだろうと思いますが、この例はわずかに出ている画です。ほとんど出ていませんが、拡大してみると出ているのがわかります。これは現像で消せますが、かといって無くなると味わいも失います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 城門の下
 これはもう少し白濁が顕著です。でもこの雰囲気には合っていると思います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 伝統衣装の店
 太陽の光の廻り方によってはかなり白っぽくなってしまいます。この店の目的は古くからあるろうけつ染めを保護しようという趣旨のようです。「非物質文化遺産を保護するために慎んで参上」というようなスローガンも見られます。白濁も場合によっては懐古趣味的でいいものです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 公厠
 これも白濁が効果的に運用された例です。汚いものをイメージさせる表示ですが、優しげなトーンで見ごたえがあります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 赤い提灯のかかった通り
 このような画では白濁を消すとよくありませんが、かといって多すぎるのも良くありません。この例は少し多すぎるかもしれません。全く調整を加えていない段階がこのような感じです。ここから画を締めていって程よく調整するのが良いと思います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 鳳凰古鎮の大通り
 鳳凰古鎮の大通りです。観光用の店以外ありません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 地図を広げる観光客
 人がとにかく多いので、この写真の撮影は時間がかかりました。人が絶えるまで待っていたので、トンネル向こうの右側の人たちが一体どうするのかと、こちらを観察しています。突然構えて一秒も使わずにシャッターを切ったので、彼らは観察しているままの状態で写っています。中国人は好奇心の強い人たちですぐに群がります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 少数民族の帯を売るお婆さん
 少数民族柄の帯を作るお婆さんです。衣服の質感の表われ方はノンコートレンズ特有です。観光で経済が成り立っているところですので物売りが多いです。店だけでなく、路上も物売りだらけです。ここから順番に見ていきたいと思います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 少数民族柄の財布を売るお婆さん
 白い色の部分が変に煌めいてしまう弱点が少々見受けられます。鳳凰古鎮は観光化されてそんなに経つわけではないので、地元の年配者は自分たちの晩年にこんな風になるとは想像していなかったと思います。いろいろ工夫して作っては売りますが、なかなか売れるものではありません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 民芸品を売る人たち
 郊外から、いろんな細工品を持ってきては並べています。奥が明るく、手前が暗いので難しい画です。しかし奥は飛ばしても問題ないので、露出を調整して手前を明るくすれば良いと思います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 記念写真屋
 一番多いのはこれです。記念写真屋です。風景をバックに写真を撮るという商売です。民族衣装を貸す場合もあります。同業者が多いのでお客さんを捕まえるのがたいへんです。少々強引に掴み掛かってくることもあります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 花輪売り
 花輪を作って頭に飾るものを販売しています。これはわりと売れているような感じです。それでも同じものを売っている人が多いので1つ売るのでもたいへんです。なかなか売れず休憩しています。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 銀細工売り
 銀細工が有名なところなので、老舗の専門店も幾つかありますが、路上でも売っています。ヘクトールは素材を柔らかく描写できますが、白だけでなく銀も光り方が幾分しつこい感じはあるかもしれません。とはいえ、これが実際に銀かどうかはわかりません。ステンレスかもしれませんが、そのこととは別にレンズの描写としてもう少し深みが欲しいところではあります。しかしアナログフィルムで撮影すればこの問題は出ません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 雑貨屋
 この雑貨屋の光の廻り具合はなかなか良い感じです。ライツのレンズだったから撮れた画かもしれません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 焼き豆腐
 豆腐屋もすごく多いです。日本人がたこ焼きを食べる感覚に似ています。湖南は日本料理に似たものが結構あります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 民族料理屋
 何か黒いものを揚げています。ゴマかもしれません。郷土料理のようです。背景のボケの出方はエルマーとは違うことを感じさせます。エルマーはもう少し硬質で、ヘクトールは柔らかくなります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 揚物屋
 海鮮揚物です。エビなどを使います。スナック菓子のようで、美味です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 機織り
 少数民族の織物です。商品のすべてがこのように作られているのかわかりませんが、1つの機織りを交代で使って作っています。要するに作っているのを観光客に見せる趣旨なので、バイトが時間割でピットに入るという形のようです。従って工作はたいへん遅く、絶対に専門の職人ではありません。それよりむしろ若い女性を起用することに意味があるようです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 アクセサリー屋
 観光地ですから、香港のモンコックにも売っている同じものがここにもあります。この地方から輸出しているのかもしれません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 アイスクリームを買う
 地元の子供らがアイスクリームを買いに来ています。赤ん坊を入れる篭はこの地方独特かもしれません。他では見かけません。描写の方は、日陰に入ると色彩が濃くなることがわかります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 白いチャイナドレスの女性
 レストランもたくさんありますので、いろんな衣装の女性がいます。休憩中に外でQQ(中国で人気があるチャット)をやっています。ノンコートレンズらしい色彩、ヘクトールらしい鉛っぽさがあります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 喫茶店
 色っぽい名前の喫茶店です。「あなたを鳳凰でお待ちしています」という意味の長い名前です。ここで待ち合わせて下さいという意味かもしれません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 川沿いの料理屋街
 川沿いにレストランやバーがたくさんあります。コーティング有りのレンズであれば、もっとはっきり写ったと思いますが、これもまたいいものです。まだ夕方になり切らない時間帯のものです。夕食の時間に入ったばかりぐらいです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 遊覧船
 こんな船に乗って川の方から街を眺めることもできます。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 朝もやに包まれた鳳凰古鎮
 こんな風景を船から見たり、対岸のレストランから見たり、こんな風に橋からみたりします。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 鳳凰古鎮の町並みを描く画家
 写生の学生も大勢訪れます。発色と光の掴み方にノンコートレンズの特徴が出ています。輪郭の雰囲気がヘクトール独特です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 民族衣装の女性
 この地方の少数民族の衣装です。これは観光局の計らいでしょうか。金を要求しませんので、かえって非常に違和感があります。微笑みを絶やさないというのも中国では違和感があります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 景点の入り口
 街の中を見るのは無料ですが「景点」と呼ばれる有名スポットの入場料は必要で1枚切符を買うと全部入れます。中国人は切符を買わずに入る方法を探りますので、入り口には鬼のようなお姉さん方(以下「鬼姐」)が構えている必要があります。怖いです。これが本来の中国における服務の姿です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 老人
 景点の出口付近から鬼姐とそれを出し抜こうとする観光客の戦いを眺める地元の紳士です。「私は地元では金を払いません。なぜ私のような高貴な人物が支払う必要があるのでしょうか」「ここでは払って下さい」とこんな感じです。あまりの見苦しさにぼう然としておられます。彼の背後には「撮影お断り」と書いた札がかかっています。しかしさすがにこれは撮らないわけにかないのでは?

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 記念撮影
 中国人の写真を撮る時のポーズは想像力に満ちています。場に合ったスタイルというものをわきまえています。これはおとなしい方ですが、直感的に壁に寄り掛かるべきという判断を見極めたようです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 梯子と帽子
 古鎮を魅力あるところにするには単に古い街を保存するだけでは不十分ですから、こまやかに配慮が払われています。路地裏にまで気を遣っています。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 漢字が書かれた柱
 町中の通りに門は普通要らないと思いますが、ここから先は特別なエリアだったのか、鳥居のようなゲートが一ヶ所あります。支配者の屋敷があったエリアなのかもしれません。その柱には文字が書いてあります。たいへん古いものなので趣があります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 銀細工店の門構え
 銀細工の店の入り口です。建物の基台のように見える石が置いてあります。意味するところはわかりませんが、老舗の雰囲気があっていいものです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 赤い提灯
 赤い提灯が多いので祭りのようです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夕方路上に出没する屋台
 旧市街の外には夕方になってくると屋台が一斉に出ます。かなりの座席数ですが、観光客も多いので一杯になります。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 焼き鳥
 鳥の丸焼きは15元です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 汁と小吃
 汁とありますが、伝統的なジュースです。ヘルシーなので舶来物よりも健康的です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 ライトアップが始まった鳳凰古鎮
 少し暗くなってくると電気を付け始めますが、まだまだ本格的ではありません。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 川沿いのレストランの色とりどりの照明
 レストランは色とりどりの電気を使っています。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 紙で作ったランプ
 夜になると商品にも明かりが灯されます。通りの景観も昼間とは違ったものになってきます。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 喫茶店の置物
 バーのディスプレイも夜になると引き立ちます。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 川沿い
 川沿いは夜になるとなぜか、ミニ・バナーラス状態になっていました。インド的ですが、よく見るとインドとは違うと気がつきます。なぜ人々は夜に川に入るのでしょうか。昼間はほとんど人が寄りつかないのです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 物ごい
 物ごいもすごく多いところで、かなり集金しています。物を売るよりも良さそうです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 バーの呼び込み
 バーにはお姉さん方が呼び込みをします。しかし古鎮観光に来る人がこういうところで遊びません。中はほとんどお客さんがいません。ぼったくりも多いのはどこの国も同じですから人が入りません。呼び込んでも観光客は素通りします。それでボーと人の流れを見ているだけです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 欄干で寝ている少女
 別の店の呼び込みは疲れたのか、欄干に捕まって寝てしまいました。成果の上がりにくい仕事はたいへんです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 櫓
 櫓のライトアップも芸術的です。かなり見ごたえがあります。ここから以下は一気に夜景をご覧いただいて終了いたします。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 城のライトアップ
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夜景1
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夜景2
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夜景3
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夜景4
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 50mm f2.5 夜景5

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