無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

手工生産のラテンの国が作ったレンズ2

イタリアレンズの描写を確認する - 2013.03.30


オフィチーネ・ガリレオ エサオギ 50mm f2
Officine Galileo Esaog 50mm f2

 次も同じくフィラーニア Ferania社によって販売されていたコンドル Condor IIから、オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2を外してマウント改造を経て撮影して参ります。50年代ぐらいのレンズだろうと思いますが、この時代の標準レンズでf2というのは、決して高度なものではなかったものの、イタリアの光学会社にとってはかなりの挑戦だったと思われます。このような明るい玉はイタリアではおそらくこのレンズのみしか製造されていないと思います。ガウス型のレンズですが、意欲作であるなら結構クセも出そうなので、そのあたりを見ていきたいと思います。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 徳勝門
 うちから近いところにある目立つ建造物ということで本コラムの別項で日中、夜景など幾点か外観のみご覧いただいております徳勝門(德胜门)です。周囲は取り囲むようにバスターミナルになっていて、ここから万里の長城、明十三陵などへ行く市バスに乗ることができます。市バスですので、おそらく一番安く行く方法です。きちんと入り口まで乗りつけてくれます。この門は現在、貨幣博物館として利用されているということですが、興味がないということでこれまで行ったことがありませんでした。しかし門の方は登っても良いのではないかと思い、一応入って見に行ってみることにしました。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 ライトアップ
 夜間のライトアップはとても綺麗なのですが、それを支えているのがこの照明群です。城壁の基部をこれで照らします。1つ1つは中華風の柵で保護してありますが、そもそもこのエリアには進入できず、大きく柵で囲まれていますので城壁や照明には近づけません。この撮影も柵越しです。おそらく照明1つ1つの柵はデザインだろうと思います。なかなか洒落た趣向だと思います。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 徳勝門を囲う赤い壁
 入り口がわかりませんので、廻ってみますと先の方にようやくそれらしいものが見つかります。歴史的建築のトレードマーク的赤い壁はここにもあります。さて描写の方ですが、本などの用紙でマット紙というのがありますが、その質感に似ているような気がします。布のような質感になるように思います。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 古代銭币展覧館
 入り口には「北京市古代钱币展览馆」と表記されていますが、これが徳勝門入り口です。写りは優しげで落ち着きがあり、ラテン的な雰囲気は感じられません。ガラスはフランスのソン・ベルチオ SOM Berthiotが供給していたようですので、光学設計もソン・ベルチオが手がけたのであればこの写りは納得できます。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 游客止步
 景点(観光スポット)は必ず管理局のエリアがあって、どこも結構大きなスペースが割かれています。一般客は入らないように表示してあります。比較的大きな駐車スペースがあるのも同様で、高官が視察に来た時など、ここへ黒い車列が入ってくるのだろうと想像されます。本日は幸いそういうことがなかったので、管理エリア以外は自由に参観できます。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 赤い柵と小銭
 徳勝門の城内側にはかつて兵舎があったと思われ、そこが古銭の展示スペースになっています。正面入って左右に2つの展示棟がありますが、正面には土産屋と鑑定屋があります。20元で古銭を鑑定してくれます。中国はとにかく柵の多いところですが、域内に設置してある柵には「太平天国」と銘打たれた小銭が貼り付けてあります。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 記念撮影
 両親と息子と思われる訳あり気な謎の観光客が門を背景に記念撮影に及んでいます。もっとも、第三者的観点から謎であるだけであって、本人らには何の秘密もないのかもしれません。いや、それともそれぞれ内に何かを秘めているのかもしれません。子供がおればさらに謎は深まったのでしょうか。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 階段
 ここから上へ登っていきます。リアリティがありながらも繊細なタッチでレンガの1つ1つを克明に描き分けています。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 瓦
 瓦が階段の方に出っ張っている部分は柵で保護してあります。兵器を運び込むこともあるこういう通路に瓦が飛び出しているのは不自然ですが、ともかくこういう構造になっています。そのお陰で古代の瓦をよく観察できます。しかし徳勝門は全部が復刻とも言われていますので、実際には古いものではなく、近代のものだろうと思います。最近の中国人が設計し直したのなら、なるほど階段に瓦が飛び出しているのは理解できます。最新の大陸基準では全く「没問題」です。大国というのはインドにしてもロシアにしろ、非常にいい加減です。柵に焦点が合っていますので、後方へのボケの様子がよくわかります。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 瓦2
 ボケをさらに見ていきますと、ボケ始めは柔らかいのですが、どんどん奥に行くに従って硬質になっています。二線ボケが距離によって拡大され明確になっているからだと思われます。表現上、特に問題はないと思います。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 箭楼
 箭楼と呼ばれる天守閣部分に到達します。西洋風外灯に違和感を感じないのは不思議な気がします。この描写は言われなければソン・ベルチオだと思ってしまいそうです。しかしソン・ベルチオの50mm f2は爆濃型の筈なので、こういう描写ではない筈です。そうであればこのガリレオの50mmもある意味貴重なものかもしれません。イタリア的な何かが感じられにくいのは残念です。性能の良いレンズは幾らでもあるので、多少悪くてもイタリア的な要素に拘って欲しかったと思います。この当時はこれで精一杯だったのだろうと思います。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 徳勝門の古い石碑
 屋内に入るとここは古代の戦争関係の展示がしてあることが案内されています。この門は明清代のものですから、その当時の攻防についてパネルで解説しています。門の名称を示す古代のプレートがありますが、現代の表記とは違い繁体字です。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 徳勝門の模型
 こういう展示にはお決まりの模型です。ガラス越しの撮影なので幾分不明瞭です。距離は50cmぐらいです。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 電灯
 館内の電灯も中華風です。もう今は売っていないタイプと思います。戦争が近代化して城門の役割が変わってしまってからもうしばらく経つことを思わせます。

オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 梅
オフィチーネ・ガリレオ Officine Galileo エサオギ Esaog 50mm f2 白い蕾
 下に降りて寒波のためにまだ咲かない梅を撮影します。上の赤い花は1mぐらいで下の白い花は3mぐらいは離れていたと思います。この距離の違いが後方のボケ方に影響を与えています。少し離した方がナチュラルです。

 このレンズに関しては、一旦イタリアというところから離れて考えた方が良さそうです。かといってソン・ベルチオについても論じたくはありませんが、この古典的美意識を見ればやはりパリの光学の伝統を引き継いだものと考えるしかないように思えます。ともかく上品なレンズであることは間違い有りません。

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