無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

ヘクトール28,50,73,135mmを比較する3

オールドライカ・ヘクトールレンズの描写について考察します - 2012.07.03


ライツ ヘクトール 135mm f4.5
Leitz Hektor 135mm f4.5

 それでは次にライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5を見ていきます。望遠を使ってスナップを撮ると言うのはこれまで考えたことがなかったのですが、まずは下の写真をご覧いただきます。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 雅宝路で路上に屯する人々
 手前の女性が電話をしており、それよりもっと遠くに4人の男女がこちらを観察しています。135mmレンズでの撮影ですからかなりの距離です。これだけの人数の人が一斉に見ていると歩いていても気がつきます。それでこれを撮ってやろうという気になり距離を無限に合わせれば撮れますので、手前の女性とかその右に他にも人がいたのですが、その人らをダミーとして使い、これを狙ったふりをして一瞬で遠くの男女を撮っています。彼らは自分たちが射程に入っていることに気がついていません。30~50mの距離があるので、まさかはっきり写るとは思っていないのです。
 この画の意味するところは、対象に対してこれだけ距離を空けられるなら見つかりたくない場面でもスナップしやすいのではないかということです。それが今回の目的でしたが、結論から言うとかえって難しかったです。おもしろみも感じられません。やりにくいです。画面が小さ過ぎます。やはり135mmは人物撮影か静物撮影に限ります。ともかく幾らかは撮りましたので少しご覧いただこうと思います。(注:スナップとは本来、潜んで撮ったりするものなので、こういう考え方は普通ですが、最近世間がうるさくなってきて、うっかり人に向けようものなら何を言われるかわからない、訴えられる可能性さえあります。目立たないように撮っていくという以前だったら普通にできたことが今ではできなくなってしまっています。中国では現状こういう問題は全くありませんし今後もなさそうですが、日本ではしばらく難しそうです。以前1/2に車で東京を通過したことがありますが、ゴーストタウンになってしまっている東京に何の魅力も感じられませんでした。街にとって人ほど重要なパーツはありません。人を全く撮らずにスナップを続けると生命力を失います。問題を起こす人もいるのでやむを得ない部分はあるものの、文化の発展にとっては障害となりうる傾向だと思います。)

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 雅宝路の広告
 北京には雅宝路というロシア人街があります。具体的にはロシア人が毛皮の衣類を仕入れるところです。白人の密度が高いエリアです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 雅宝路付近で外人がリキシャと交渉中
 このレンズは特にどうということはありません。EPSON R-D1が出た時にパンフレットの広告写真は全部このレンズで撮ったというのはよく知られています。古いレンズですが非常に優秀です。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 中央テレビ局
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 地下鉄の出口
 国貿にも行って撮影しましたが、遠くを撮ってもぜんぜん面白みがありません。記録写真みたいです。遠くでも野鳥の撮影のような使い方であれば良いと思います。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 発票業者の広告
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 水
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 ラーメン屋の提灯
ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 毛皮製品のショップ
 対象の的を絞ってわかりやすい画にするのが、このレンズの持ち味の活かし方になりそうです。しかし望遠レンズに関してはどれも同じことが言えると思います。ヘクトール135mmは、変なクセがなく、安心して使えるレンズということがわかりました。少なくとも他の焦点距離のヘクトールレンズのように妙なクセがあって撮影者を困らせることはなさそうです。

ライツ Leitz ヘクトール Hektor 135mm f4.5 女性の顔
 ここで比較しておりますヘクトールレンズの中でこの135mmが唯一のコーティングレンズです。そのため全体的に割と明瞭な画が得られています。色彩も独特の魅力を放つノンコートとは違い、より自然な感じがします。シリアルを見ますと47年製造の古いレンズではありますが、色彩感覚は60,70年代にまで至るライカレンズの独自の個性をすでに有しています。淡い色彩からパステル調に転じることもあり、地下鉄の車内など、このような環境で撮影するとパステル的な発色のノンコートレンズよりもよく写ります。1mちょっとの最短距離から走行中ずっとしゃべっているこの人を椅子に座って撮りましたが、さすがに暗いし動きもあるのでブレてはいるものの、光の扱いを吟味すればポートレートでかなり使えるだろうと思わせるポテンシャルが感じられます。

 テッサーはトリプレットの内、後玉を貼り合わせにして優れた設計となりましたが、ヘクトールの望遠系は中間貼り合わせになっています。貼り合わせ一箇所4枚玉というのは優等生レンズの基本的な条件なのかもしれません。

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