無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

エルマー35,50,90,105mmを比較する3

オールドライカ・エルマーレンズの描写について考察します - 2012.07.14


ライツ エルマー 105mm f6.3
Leitz Elmar 105mm f6.3

 次にライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3を見てみます。ノンコートですが、広角から望遠に変わるとどうなるでしょうか。

 このレンズは、かなり低スペックという特徴があることについてはすでにお話しました。最短距離が3mですし、使用範囲が限定されているように思えます。そこで自然、体育関係の用途を想定した専用設計になっているのではないかという仮説を立てていました。そんなことを言ってしまったので、そういうものを撮りにいかないといけません。困りました。どうしましょうか?

 とにかく北京の地図を開いて、自宅周辺の好ましいポイントを捜索します。発見に至ったのは次の3つでした。1.オリンピック・スタジアム"鳥の巣"、2.北京動物園、3.百鳥園です。1から順番に検討してみます。

 ネットで見てみますと、鳥の巣は今でもスポーツ関係で使っているようです。一番最近のものは「イングランド・プレミアリーグ・サッカー、マンチェスター・シティー対アーセナル神殿杯」という一戦です。日本だったら大リーグの開幕戦を東京ドームでやったりしますが、中国はサッカーです。サッカーは見に行ったことがないので、ちょうど良かろうと思いましたが、残念ながら試合は27日にあります。その頃は北京にいません。(後記:エルマー50mmの作例を7/29にアップしています。張家界に行っていますが、ここへ7/27便で飛んだのです。一日ずれていたら見に行っていたと思います。)しょうがないので2番目の候補を考えます。

 北京動物園は珍獣の多いところとして人気です。その目玉はパンダらしいです。パンダって珍獣ですか? 確かに山の中走っていてパンダに遭遇という話は聞きません。前にパンダが世界で初めて発見されたというところを通過したことがありますが、その時も見かけませんでした。(そこは四川の上里という古鎮の近くで、自然がこの世のものとは思えない美しいところでした。九寨沟のようなところでした。)ともかく、この暑い時に広いエリアを歩くのはたいへんです。そこでより近い百鳥園に行くことにしました。涼しそうな感じもするので。

 百鳥園は大きな公園の一角にあります。大きいと言ってもすごく細長い公園です。1000年程昔に、元という王朝の都があって、その頃の城壁と堀がまだ残っていて、そこは今では全域が公園になっています。「元大都城垣遺址公園」と呼ばれています。無料ですが、よく整備されています。この一部にある筈ですが・・・幾ら探しても見つかりません。そこら中の人に聞いても「知らない」と言います。鳥は鳩と雀ぐらいしかいません。しょうがないのでこの公園内で撮影することにしました。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・案内板
 開放値がf6.3なのに、パースペクティブが狭いです。近いものを撮る時には結構神経を使います。それで3m以上というスペックになっているのかもしれません。135mmの方が条件が厳しい筈ですが、それより撮りにくい感じがあります。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・蓮
 もっと近いものを撮ったらピントを外しました。それでも手の幅ぐらいはありそうなので、どうしてこのようなミスを犯したのかわかりません。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・鳩とピンクの花
 鳩が冷たい石の上で休憩中です。背景はチリチリした葉ですが、あまり奇麗には見えません。もしコーティング有りのレンズであれば、もう少し見栄えが良かった筈です。太陽の光の影響を受けるこのような場所では微妙なフレアを伴いますので、複雑な構成要素を含んだ画は苦手です。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・鳩
 日陰であれば、発色、コントラスト共に申し分ありません。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・石に仕掛けたスピーカー
 撮影する立ち位置でうまく木陰に入ると、レンズ内で太陽光の回折が発生しませんから、写りは安定します。気を遣いますがしかし、この写真よりも若干のフレアを伴った方がライカらしい柔らかさはあるかもしれません。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・提灯(フード有り)
ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・提灯(フード無し)
 同じ対象を写していますが、印象がずいぶん違います。上はエルマー105mm専用フードを付けています。下は外しています。斜め前方から太陽を受ける条件の悪い環境ですが、105mmであれば、それも専用フードであれば幾らか長いので、かなりの効果があります。フードがなければ色まで褪せてしまいます。しかしこういう効果が欲しいこともあるかもしれません。この例はトリミングしていますので、効果はいささかデフォルメ気味です。実際には、もう少し目立たない差です。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・灯籠4つ
 フードを付けている限りは非常に優秀なレンズです。たいへん端正な写りです。一歩控えた品もあります。またノンコートでなければ、こういう質感が出にくいので、ノンコート派がデメリットを省みずに使うのはこれが理由です。しかし非常に微妙な相違です。この微妙な差が大きかったりもするのですが。

ライツ Leitz エルマー Elmar 105mm f6.3 元大都城垣遺址公園・橋と釣り人
 もっと遠いところを撮ってみます。テッサー型レンズの特徴的な部分がよく出た画です。妙なクセが全くありません。水面の様子、枝垂れる樹木の柔らかな感じもよく出ています。

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