無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

近接界というもう一つの世界6

すごく近寄った時に見える世界 - 2013.03.26


アストロ・ベルリン キノ・カラーIV 50mm f1.4
Astro Berlin Kino-Color IV 50mm f1.4

 アストロ・ベルリン Astro Berlinのレンズの中でキノ・カラーというシリーズのプロジェクターレンズがあります。フランジバックが短いのでマクロでしか撮影できません。余っていたヘリコイドを消化する形で使ってみますと1.5~30cmぐらいの範囲しか撮れません。フランジバックが短いカメラボディを採用すれば、もちろん無限まで出ると思いますが、とりあえずマクロのままで使ってみたいと思います。今回撮影しましたのはキノ・カラー Kino-Color IV 50mm f1.4です。

アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 絹織物
 中国伝統の絹織物で作られたマウスパッドです。この上にレンズを置いて幾分下に向ける形で撮影してみました。最短距離ですので被写界深度がほとんどありません。目測で撮らないといけませんし、これでは撮影は難しいので最長30cmぐらいで撮っていくことにします。

アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 朱泥茶壺
アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 段泥茶壺
 このようなレンズの使い方を考えると例えばこのように中国茶壺の泥を写すという用途が考えられます。茶壺は泥が命ですので、これをアップで撮影するケースがあり得ます。1つ目は大紅袍紅泥と呼ばれる材料です。希少な材料で中国外交部(外務省)が国賓に贈るのものとして製造されたことが書いて有ります。釣魚台迎賓館贈ともあります。しかし誰が作ったかわからないようなものは人気がありません。南京の骨董街にあったものを300元で持ち帰りました。北京だったらこういう掘り出し物が安値で出ることはあり得ないです。銘があれば購入できる価格ではなかったと思います。もう1つも同じ骨董ビルで見いだしたもので鳳凰単叢用の段泥の古い茶壺です。これは100元でしたが親父が「この野郎!それは良い物だぞ。値切りやがって」と文句を言ってきました。私が100元じゃないと帰るとわがままを言ったのでぶち切れたのです。そしたら値段を下げなければいいと思うのですが。売れなくて困っていたのかもしれません。ともかくこれだけ胎が薄いとよく香るだろうと思って買ってきました。民国期ぐらいのものと思います。なかなかこの手の良い物は見つかりにくいと思います。南京は骨董に関してはとても良いところです。99%はほとんどゴミ同然ですが、1%でも良い物があれば十分過ぎます。北京でもがらくたに混じっている孟臣壺が見いだされることがあるので性急な判断で諦めるのは禁物です。しかし北京は物が判る人が多いので、掘り出し物はほとんどありません。南京、また行きたいですね。

アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 二胡の棹
 私が持っている二胡の棹ですが、これは古楽器です。古いものはまだ良い材が結構使えたので今では入手困難な材を使っています。これは黄花梨です。最高材は海南花梨で故宮の柱などに使われている"帝王の材"です。海南花梨は明代に枯渇しましたが、大陸にもありますので、そういう材を使ったものです。木目に特徴があります。

アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 二胡の棹の補修
 節などありますと、このように補修してある場合が多いです。現代楽器ではこういうことはしませんが、昔は普通に行われていたようです。楽器だけでなく建物の柱もこのように処理する傾向があります。宮殿の場合は巨大な柱を幾つも立てますが、これらは丁寧に象眼のように埋め込んで綺麗にしてあります。日本の場合だったら自然のまま使用することに価値を見いだすと思います。このあたりは日本人と中国人の考え方の違いだろうと思います。

アストロ・ベルリン Astro Berlin キノ・カラーIV Kino-Color IV 50mm f1.4 シネ・クセノン
 今度これに距離計連動リングを嵌め込んだら早速撮影しようと思っています。シュナイダーのシネ・クセノン 50mm f2です。

 描写についてはどうでしょうか。記録写真を撮るには使えないような気がします。やはり絞りがなくて被写界深度をコントロールできなければ難しいと思います。もっともプロジェクター用レンズで鮮明な写真を求めるということはないので、記録という発想は始めからありませんが、マクロは記録的要素は多かれ少なかれありますのでこのレンズを活かそうとする場合は幾分特殊な用途になりそうです。この柔らかさを活かせる対象を見つけた時には良いパートナーになりそうです。

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