無一居

空想のレンズを作ってしまう「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

アグファというフィルム製造会社が作ったレンズ1

アグファのレンズにはカラー画像のスタンダードがある - 2012.06.10


アグファのコンパクトカメラ

 トーマス・エジソン Thomas Alva Edisonがキネトグラフ Kinetographという世界で初めての映画システムを作った時、装填するフィルムを作る必要があったので、友人のイーストマン・コダック Eastman Kodakという男に頼んで作って貰ったのが、現在135とかライカ判と言われているフィルムのフォーマットです。コンパクトなので写真用としても利用されるようになり、最初に成功したのがオスカー・バルナック Oskar Barnack開発によるライカでした。当時は暗室でマガジンにフィルムを切って入れていましたがたいへん面倒なので、アグファ Agfaがパトローネ Filmpatroneというものを開発し、あらかじめフィルムが詰めてある状態で販売を開始しました。1932年のことでした。これが一般に写真用フィルムとして多くの人に知られているもので、現代に至るまで使用されています。アグファはさらに36年にカラーネガを開発し、39年にアグファカラー・ノイ Agfacolor Neuとして販売を開始しました。

 これがおおまかなセルロイドフィルムとそれに続くカラーフィルムの歴史です。アグファは最初の開発者として、フィルムに感光された "色" がどのように記録されるのかを熟知していたと言えます。そしてアグファのフィルムに写された写真をみるとその鮮やかな発色の中に独特の美学も見て取れます。さらにそのフィルムに焼き付ける光はどのようなものが望ましいのかについても明確な考えがありました。それゆえ、アグファが設計した写真レンズはいずれも同社の色に対する理想が反映されています。コンパクトカメラに装着されている小さなレンズに至るまで・・・

 本コラムでは基本的にR-D1で撮影するという統一原則がありますので、アグファのレンズを買ってきて作例を用意しようかと思いました。人気がないようで、とても安いということもあります。しかし幾ら安くても要らないと思うものは買いにくいものです。クセらしいクセがほとんどない非常に端正な写りのレンズなのです。真面目なレンズが欲しい人にはぴったりです。発色も豊かです。それでもそこから突き抜けた何かが感じられません。あまりに整い過ぎた美人なのです。人の欲求とは限りないものです。(実際に使うと印象は変わってくるかもしれません。)私はアグファのコンパクトカメラは持っていますので、これで作例をたくさん持っています。アグファのレンズには厳格な基準があるのか、コンパクトカメラと言えどもアグファの個性は十分に有しています。そうなってくると、安価なレンズを付ける他社のコンパクトカメラとはクォリティに開きが出てきます。しかも1万円ぐらいで買えるし、言いことだらけと思ってこれをしばらく使っていました。(動画は現在でもこれを使うことがあります)これでいろいろ見てみたいと思います。それで絞りは自動となり、これまでの作例とは違った条件になります。同じくスタンダードを目指していると思われるiPhoneのレンズも比較してみたいと思います。かなり以前に所有していた第2世代のもので、それ以降持っていませんので、以前に撮影したものを引っ張り出して見てみます。携帯としては質が高い方だろうとは思いますが、やはり専用デジカメには敵いません。そのあたりも比較していきたいと思います。

アグファ コンパクトカメラ かばんの山積み
アグファ コンパクトカメラ カフェ
 発色がどうの、と言い過ぎたので作例をどうしようかと悩みましたが、特徴的なこの2点をご覧いただくことにしました。コンパクトカメラの場合はレンズ交換がなく、完全に最適化可能なのでパフォーマンスが安定しています。色がしっかりしているということは白がきちんと出るということを意味しているということがわかります。

アグファ コンパクトカメラ 景徳鎮
 白繋がりでもう1つ。景徳鎮。

アグファ コンパクトカメラ 傘
アグファ コンパクトカメラ 壁と蔦
 現代レンズであれば何てことない図ですが、オールドレンズにとってはやっかいな対象です。もちろん21世紀のアグファはきちんと写ります。シャープさと柔らかさと繊細な光の捉え方、いずれも満たしており申し分ありません。

アグファ コンパクトカメラ 濡れた路面
 雨が降りましたので、濡れた通路を撮ってみました。あまりに普通に撮れ過ぎて面白みがないと感じられるようなら、あなたはもう現代レンズは使えません。

アグファ コンパクトカメラ 置物
 近い物も撮ってみました。階調が豊かですが、ライツあたりの階調とはいささか性格を異にしています。"正統" というものへのこだわりが感じられます。

アグファ コンパクトカメラ 西湖
 強力な光を正面から受けている図ですが、全くフレアが出ていません。ノンコートのレンズを使っていると絶対にシャッターは切らない角度です。この位置に夕日はファインダーを覗くのが怖いという別の事情もあります。オールドライカユーザーであれば、こういう影絵のような図を獲得すること自体が難しいですが、その代わり、白と黒の境目が曖昧な夢のような画像を期待すると思います。そこで角度を変え、さらに寄り、全く違った作画を狙うことになります。この写真を見たら、新しい写真だなという感じがいたします。

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