ロモへの憧憬 「湖楼」24mm F?

2012.1.30

ロモ LC-Aは対象を覘き見て四角に切り取るレンズを付けている

 ソ連・サンクトペテルブルグにある工業総合メーカーだったロモ社は国家的な政策によりコシナのカメラのコピー量産に着手し、ついに1983年にLC-Aを販売開始しました。やがて冷戦が終わり、1990年、ウィーンのある学生がロシアを旅行した時にLC-Aを持ち帰り撮影して、写真展を開きました。これがロモ協会(ロモグラフィー)の設立経緯です。いまや伝説です。

 ロモ LC-Aはアナログのカメラで、デジタル化はされていません。どうしてでしょうか? それはロモの特殊な現像方法と関係があります。ロモはポジフィルムを使います。これをネガフィルムに使う現像液で処理します。これを「クロスプロセス」と言います。このようにすることによってロモ独特の表現を作り出しています。しかし、現在ではどんなカメラで撮ってもパソコンのソフトを使って "ロモ風" の写真が作れます。下の写真では、アグファのネガフィルム(ここではポジを使っていない)を使ってロシア製の(現在では中国に生産が移っている)本物のLC-Aを使って撮った例を挙げます。これをApple Apertureの「トイカメラ」タブを1クリックするだけで作ってしまったのが2枚目の写真です。クロスプロセスの手法で作った写真はこんな感じになります。

LOMO LC-Aの子供の写真 LOMO LC-Aの子供の写真に加工を加えた例

 ロモのレンズだけを取り出してデジタルで写真を撮っても、ロモ芸術を味わうことはレンズだけでは不可能ということです。アナログのように現像に手を加えられないからです。それで加工を加えるソフトは必ず必要ということになります。結構数が出ています。1クリックでOKというものから、画像処理ソフトを使って自分で調整することができるものもあります。いずれもフリーで入手可能です。オリンパス・ペンにはトイカメラ用のフィルターが内蔵されており、普通のレンズを使ってロモ風写真が撮れます。ロモ風写真は確かに撮れますが・・・ロモ LC-Aが作る作画を得ることは難しいです。

 ロモ LC-Aには、Minitar-1というレンズが付いています。広角の32mmでF2.8です。高性能レンズを量産化するという目的で製造され、プラスチックレンズではなく、ガラスが使われています。ソ連には第二次大戦後にドイツから接収した技術があるので、非常に優秀なレンズもあります。そういう伝統によって作られたレンズではありましたが、広い画角にするためにコンパクトカメラへ入れる32mmは限界だったらしく、頑張ってもそれでも周辺光量が落ちているのがわかります。それに、重要な点ですが平面を得ることもできませんでした。魚眼レンズのような効果が僅かに見られます。しかしレンズの状態が良いLC-Aの作画の中央は非常にシャープで繊細に写ります。(作例の写りはあまり良くありませんね。いずれも友人と四川省の古鎮へ行き、友人がLOMOで撮ったものですが、彼が自分でスキャンしたものをいただいたものです。このスキャンで劣化したと思われます。こういうこともあるのでロモのデジタル化は切実に必要と思っています。)

 ロモ LC-Aは、トイカメラ、おもちゃカメラだと言われます。だけど、作った人たちは「おもちゃ」と思って作っていなかったと思います。レンズは広い範囲を撮るためにギリギリの努力を払っています。そしてシャープで美しく写ります。大衆高級コンパクトカメラとしてライカに似た発想で作っています。ただ、ソ連の物価だから安く販売されていて現代の基準からは遅れた技術なのは確かです。設計者は周辺光量落ちと魚眼効果はわかっているけれど、許容範囲を考えて、微妙なところで手を打ったのかなと思っています。この感性が即ちLC-Aの価値なのです。大切に作られたカメラです。トイカメラブームが来たと言われてもう10年は経っています。こんなに長いのはブームと言うのでしょうか? 本物だから人を惹きつけてやまないのだと思います。

ロモ LC-Aの川の写真 ロモ LC-Aの川の写真に加工を加えた例

 このレンズを24mmで作りたいと思います。使用できるカメラの一覧をご覧ください。マイクロフォーサーズで標準レンズとなります。このレンズには周辺光量落ちは必ずしも要らないと思っています。パソコンソフトを使って加えるからです。微妙な魚眼効果と収差は絶対必要で、それがLC-A芸術に迫る鍵だと思っています。ソフトの使用は過去の現像に相当する作業であって、この作業とこのレンズでの撮影でロモの世界をデジタルで再現することを目指します。

ロモ LC-A Minitar-1 32mmを模倣する上で重要な点



 胴の色は鉛のような青でしょうか? 紫にするかもしれません。

七言絶句「六月二十七日望湖樓醉書其一」

 黑雲翻墨未遮山  白雨跳珠亂入船
 卷地風來忽吹散  望湖樓下水如天

暗い雲が墨のように浮かんでいるが山を覆う程ではなし、明るい雨が珠玉のようで跳ね飛びながら船を打つ、やがて大きな風が吹いては雲と雨を散らし去り、眼下の水面が大空のように広がっている。

 写真というのは限られた枠があります。しかも糸巻き状の収差が出るようなレンズは何かを覗いているような感じがあります。狭い世界ですが、そこから見えるものは大空のような広がりを感じさせる、ふしぎな感覚があります。

 望湖樓という建物の名前が詩の中にありますが、杭州の西湖に現存しています。

望湖樓
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